『バグダッド・カフェ』


不機嫌な人達がのっけからケンカしまくり それに続く 妙な空気がやたらと可笑しい しかも最初っから 画面が傾いているんだよね

ラスベガス近くの砂漠でモーテルとガソリンスタンド兼業のカフェ「バクダッド」では 育児と家事に忙殺されているアフリカ系女主人CCH・パウンダーが毎日不機嫌極まりなく 怒鳴り散らしている

そこに現れたデブ系ぽっちゃり白人(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は やたらと潔癖で人好きときている 彼女が第2のヒロインで オープニングの不機嫌第1号

ところが なんと女主人の娘がぽちゃりに国語を習っていいるでじゃないか

ポンコツな車ばかりだけど 現代の日本と同じく 車がなけりゃ生活ができない ましてこんな砂漠じゃ歩いているやつはアホ

そして 敷地内のポンコツなキャンピングカーから出て来たのは「シェーン」の殺し屋ジャック・パランス

呼んだらすぐ来てくれるのは警察ではなくネイティブ・アメリカンの保安官というのが嬉しいね

人生はローギアで・・

『バグダッド・カフェ』(1987年/2008年 ドイツ)

監督:パーシー・アドロン

出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト ジャック・パランス CCH・パウンダー

音楽:BOB TELSON  「コーリング・ユー」歌・ジェベッタ・スティール

☆☆☆☆ 80点



『ミニー&モスコウィッツ』

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可笑しくて面白くて泣けてしまう。何やかや言っても本音をセーブしながら周りと折り合いを付け、社会秩序を乱さないように肩肘張って生きている。そんなボクらに精神の解放を促す映画だ。

やたらと怒鳴り散らす自己中心な男が何人も出てくる。そのしつこさ加減が、「あるよなあ」と思わせて可笑しくてたまらない傑作だ。

ジーナ・ローランズの「もううんざり」する顔が全編を占める。彼女は美術館勤めの腹を減らした独身女で好色という設定。

監督・脚本のジョン・カサヴェテスの半分自伝。(59歳で亡くなっているのが悲しい)
ジーナ・ローランズは実の奥さん。

『ミニー&モスコウィッツ』
(2071年アメリカ)

監督:ジョン・カサヴェテス

脚本:ジョン・カサヴェテス

出演:ジーナ・ローランズ
シーモア・カッセル
ヴァル・エイヴァリー
キャサリン・カサヴェテス
エルジー・エイムス
レディ・ローランズ
ジョン・カサヴェテス

☆☆☆★ 70点

 『ハーブ&ドロシー 』 彼もアーチストだった


驚嘆すべきは 財力も保管スペースもない素人のサラリーマンが これほど膨大な量のコレクションを続けた事実だ
 
郵便局で仕分けをしていたハーブと その妻で元司書のドロシーは元々絵が好きでアーティストとして絵も描いていた それらの絵は カンバスから剥がし 折り畳んで段ボールに保存していたことも明かされる

「いい絵だね」
 
月給で買う慎ましさ 収集のコンセプトは「ミニマル・アート」一点も売らず ナショナルギャラリーへ寄贈した謝礼金でも 又買い続けたとか
 
モンパルナスのスーチン・フジタの時代だけじゃなく  ポロック等の現代アートの時代になっても「ゲージュツカたち」は 夜な夜なたむろし 深夜まで酔っ払っていたんだね  
 
こんな貴重な映像を作品にした監督が 日本の女性クリエーターなのも嬉しい

『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』(2008年 アメリカ)

監督:佐々木芽生

☆☆☆★  70点

『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』

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ストーリーが平凡な上、映像的にも騒がしいだけで目新しい物もなく、5作目にしてアイディアの枯渇が気になる凡作になってしまった。

ヒロインのカヤ・スコデラリオが、濡れても乾いても大時代的な衣装の胸元を、寄せて持ちあげたままなのが噴飯物だが、目力の美しさだけはチケット代も惜しくない。

『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』(2017年 アメリカ 字幕版)

監督:ヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドベリ

出演:ジョニー・デップ カヤ・スコデラリオ キーラ・ナイトレイ ジェフリー・ラッシュ ハビエル・バルデム他

☆☆ 40点

『サウルの息子』 ホロコーストの叫び

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ハンデイカメラが男に密着し、

ホロコーストのおぞましい様相を追う。


ガス室に送り込まれる人々の息づかい、

絞り出される声、

閉められた鉄扉を叩く

こぶしの音、

飛び交う単語、

怒鳴り合い。


こういう時代だからこそ

人々は何かを求めて

寄って来るのだろう。

ウイークデーのミニシアターは

満席だった。



人間を大量に抹殺して行く収容所で、

ガス室に誘導し、

遺品や遺体を処理するのも

同じユダヤの仲間。

抵抗すれば殺される。

僅かな糧で

寝ることすらままならない。

彼らもまた

ハンナ・アーレントのいう

「対独協力者」

と言われるのだろうか。

目の前で殺された

見知らぬ少年の遺体を、

なんとか

手厚く葬りたい男の思いは、

生きることを許されない

絶望の中の祈りのようなもの。



『サウルの息子』


(2015年 ハンガリー)

監督:ネメシュ・ラースロー

出演:ルーリグ・ゲーザ

2015年・第68回カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞

☆☆☆★ 70点

『放浪の画家ピロスマニ』

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旧ソ連の支配下にあったグルジアの画家ニコ・ピロスマニの半生を描いた伝記映画。
ずいぶん古いフィルムらしく、時に音声が消えるが、それなりに時代の雰囲気は高まる。ここに現れる風俗や風景は、ブリューゲルの農民や妖怪達が居たような不思議な世界だ。

巨岩と草原。石畳と色の変わった固そうな木造家屋。町で評判の画家は、束縛されることを嫌がり、居酒屋で飲んだくれては絵を残して行く、正に街の中の放浪画家だ。

人は「デッサンが出来てない」とか、やっかみ半分に見下そうとするが、画家に転向し、猛烈にタブローを描き出した横尾忠則と同じように、特異な才能と旺盛な創作意欲は、中央の非難を圧倒して存在し続ける。

『放浪の画家ビロスマニ』(1969年 ソ連)

監督:ゲオルギー・シェンゲラーヤ

出演:アフタンジル・ワラジ他

☆☆☆★ 70点

『マッチスティック・メン』 潔癖症の天才詐欺師は娘に弱い

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別れた妻と同居している
チャーミングな女の子は14歳。

自分の子か他人の子か。
気になって覗きに行くたびに可愛くなり
「我が娘に違いない」
との妄想が確信になって行く。

詐欺師ニコラス・ケイジは、
極度の潔癖症で整理オタク。

タレントの坂上忍の上を行く潔癖症で、
他人が自宅に上がり込むこと
自体が腹立たしいのだが、
相棒の若造がやっている時だけは
必死に我慢する。

これはとにらんだカモは
必ず物にする天才的な詐欺師は、
ニコラス・ケイジのハマリ役だ。
病的にひねくれた野郎の顛末が面白い。

『オデッセイ』
『エイリアン』
『テルマ&ルイーズ』
のリドリー・スコットと
『リービング・ラスベガス』
のニコラスケイジのコンビ。
面白くないはずがない。


『マッチスティック・メン』(2003 米)

監督:リドリー・スコット
出演:ニコラス・ケイジ アリソン・ローマン シーラ・ケリー アリソン・ローマン

☆☆☆★ 70点

『一枚のハガキ』 帰ってみたら愛する妻は・・

終戦となり、
戦場から帰ってみたら、
愛する妻は自分の弟と結婚していた、
などという話はよく聞く。

・・・・・・・・・・・

終戦末期の昭和19年夏。
呉海兵団100名の掃除部隊が
「予科練」の来る宿舎を
掃除するため
宗教団体の本部に来る。

掃除の役目が終わった後、
スルメと酒1合で
最後の慰労会て騒ぐ間に、
上官のくじで再配置先が決まる。

・・・・・・・・・・

中身のない白木の箱を前に
町内会長が叫ぶのだ
「大日本帝國の礎となられました」
お国に為にと戦い、
人の存在すら許されない理不尽さ。

戦争の悲惨を突き付けられる。
豊川悦司が感動的な役をしています。

『一枚のハガキ』(平成23年)

監督・原作・脚本 :新藤兼人

出演:豊川悦司 大竹しのぶ 六平直政 柄本明 大杉漣 倍賞美津子 大地泰仁

☆☆☆★ 70点

* 第35回日本アカデミー賞 優秀監督賞

* 第54回ブルーリボン賞 監督賞

* 第85回キネマ旬報ベストテン 日本映画ベストワン 作品賞

『ジョニーは戦場へ行った 」戦争で恋人達を引き裂かないで

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出征の駅頭

「行かないで!私がかくまうから逃げて!」

愛を確かめ合ったばかりのジョーに、

恋人カリーンは懇願する。


1917年、

世界大戦に参戦したアメリカ。

兵士となった青年ジョーは、

戦場で顔を吹き飛ばされ、

手足も無い、

生きた屍として

野戦病院に収容された。


医者が延命したのは、

負傷兵を救う研究材料のためだ。


苦痛も快楽も感じないジョーに

与えられたのは、

延命パイプと鎮静剤だけ。


考えることと

頷くことしか出来ない青年の

思いと回想が胸をうつ。


その張り裂けんばかりの

絶望の中で、

かつて自分にかかわっれくれた

人々の温もりが脳裏をかすめ、

生かされている意味を

考えない分けにはいかない。


「自由と民主主義の為」

「お国の為」にと

若者を戦場に狩り出し、

愛し合う恋人達を

引き裂いてはならないと考えた。


『ジョニーは戦場へ行った 』
JOHNNY GOT HIS GUN(米 1971)

監督・原作・脚本:ダルトン・トランボ

出演:ティモシー・ボトムズ
キャシー・フィールズ ジェイソン・ロバーズ ドナルド・サザーランド

1971年にカンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞

☆☆☆☆ 80点


『ワンス・アンド・フォーエバー』勇ましい殺し合いの後ろでは

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戦場の勇ましい殺し合いの裏には、
国許で主人や恋人を待つ
女性の悲嘆がある


第2次世界大戦後(1939年~1945年 )
朝鮮戦争を経て(1950年~1953年)
アメリカがベトナムで
新しい戦争を始めたのは
開発した新兵器を試したい
兵器産業と国との
思惑が一致したからだろうか
(1960年~1975年)

特に性能向上著しい
ヘリコプターの威力を見せつけようと
占領国フランスの劣勢を
挽回するためアメリカが参戦した
ドロ沼戦争だった。

出兵前にムーア中佐(メル・ギブソン)は
部下とその家族に見栄を切る
「戦場で最初に踏み出すのは私であり
戦場を最後に退くのも私だ
誰一人として置き去りにはしない
命があろうとなかろうと
我々は全員そろって国へ帰るのだ」と

その限りでは
一応英雄伝として見せるのだが

結局は最後までベトコンに苦しめられ
兵士達の家族の悲しさが
増幅するだけだったのだが。

題名の意味は
「今度の一度限り」
「二度とご免だ」
というところか

『ブレイブハート』(1995年)の
ランドール・ウォレスと
メル・ギブソンコンビで作った
戦争映画は
あの名作とはほど遠いとはいえ
明確に反戦の意思を貫いた作品だった


『ワンス・アンド・フォーエバー』 (2002年アメリカ)

監督:ランドール・ウォレス(1995年ブレイブハート)

出演:メル・ギブソン他

☆☆☆ 60点

『花のあと』 北川景子の殺陣と所作が美しい

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剣豪ものが好きだが

藤沢周平の作品の中では

数少ないな分野

私怨や藩の思惑がからんだ当作品には

女剣士の情念が

社会の不条理に切り込む爽快感がある。



北川景子にとって

映画では12作目にあたる作品。

6年前の殺陣が見所。

障子を3段に引く所作と

桜のカメラワークが美しい。



平侍の三男(部屋住み)だが

藩きっての剣の使い手

江口孫四郎(宮尾俊太郎)に

江戸城役人(奏者番・伝達する取次ぎ)

の婿入話がまとまるが

道場主の娘(以登)北川景子は

江口のたっての望みで

手合いの運びになる。



江戸後期

試合といえども

寸止めしなければならない

木刀とは違い

試合形式の稽古であれば竹刀

それも包帯を巻いたような袋竹刀

剣豪ものなど読むと

道場破りとの真剣勝負では

道具をつけず

木刀で相対したから

瀕死の重傷などザラだったようだが

竹刀といっても

まともに小手を打たれると

夜も寝れないほど痛むそうだ。



『花のあと』(2010日本)

監督:中西健二 (『青い鳥』)

出演:北川景子 甲本雅裕 宮尾俊太郎 市川亀治郎 國村隼

☆☆☆★ 70点

『ライフ・イズ・ビューティフル』ロベルト・ベニーニのユーモアとペーソス

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エンドロールは 予期しない結末に胸が張りさけるやうで、ぼやけてよく見えなかった


ドタバタコンビか飛び込んだ家の叔父さんとやらが
「この家は物置で ガラクタばかりだが ムダな物こそ意味がある」
税金のムダ使い以外のムダは方便だ。

突然現れる女性を「お姫様」と持ち上げ 結婚式場から連れ去るところは、
ダスティン・ホフマンと
キャサリン・ロス『卒業』の愉快なリメイク。
おちゃらけとウソつきな男が、日本の政治家でなくてよかった。

格式ある教師の女性と 、いい加減なホテルの接客係りが結婚が出来たのも その底抜けな純真さゆえか。

可愛い坊主との幸せな一家は 、ある晴れた朝に 網格子のついた列車に乗せられ 巨大な壁に囲まれた人間殺戮工場へ集められ、ホヨロコーストの恐怖に暗転する。

"イタリアのチャップリン”ベニーニのユーモアとペーソスがいい映画にしあげた。

1997年(イタリア)

監督:ロベルト・ベニーニ

出演者:
ロベルト・ベニーニ
ニコレッタ・ブラスキ
ホルスト・ブッフホルツ

カンヌ国際映画祭審査員グランプリ受賞。
第71回米国アカデミー賞主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞を受賞

☆☆☆★ 70点


『あなたに降る夢』ニコラス・ケイジ ブリジット・フォンダのラブコメディ

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「もしたら」のラブ・コメディ。
人の良い不器用な警察官はニコラス・ケイジのはまり役。
お相手はブリジット・フォンダ 。

パトロールも一段落し、
腹ごしらえにコーヒーショップに飛び込んだ
ニコラス・刑事。

取り出した財布が金欠病でチップ代が払えず、
ウエイトレス(ブリジット・フォンダ)に
今度来た時に、チップの2倍か、
(妻に頼まれて買った)当たりくじの折半
を約束したが、
何と1等の分け前400万ドルが当たってしまう。
(1ドル105 円換算で4億2千万円)

早速ウエイトレスに
「チップか宝くじのどっちがいいか」聞いてみると、
どうせ宝くじなんか当たりっこないと思ったのか
「宝くじにしておく」との返事。

金欠同志に転がり込んだ大金だが、
人の良い警察官と、
ホームレスにも食事を分け与えずにはおれない
人情味のあるウエイトレスは、
次第にひかれ合って行くが、
家族のある二人の恋は、
意外な方向に展開して行く。

チャーミングなブリジット・フォンダ
(1964年生れ)は
ヘンリー・フォンダの子ジェーン・フォンダの姪。
当然ヘンリー・フォンダには似てないが、
もしかしたらニコラス・ケイジが希望した
キャスティングかもしれない。
20年前の映画だから二人共若いね。


『あなたに降る夢』 (1994年アメリカ)

監督:アンドリュー・バーグマン

出演者:ニコラス・ケイジ ブリジット・フォンダ ミュリエル・ラング・ロージー・ペレス

☆☆☆★ 70点

『ザ・インタープリター』密度の高い社会派サスペンス

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皆に親しまれた国の英雄も、権力の座に就いたら冷酷な独裁者に変貌してしまう。
彼の暗殺を狙うもの。それを阻止しようとうごめく親衛組織の罠。

アフリカのマトバ。
幼い頃 international marriageの両親が部族間抗争で惨殺される、という闇を抱えたニコール・キッドマンは長じて、国連の通訳になるが、親の死に絡んだ指導者が、独裁者として国連で大量虐殺の正当性を訴える機会を狙う。

シークレット・サービスのショーン・ペンが、護衛するキッドマンに心を許し、妻の秘密を明かす頃から、物語は一気にサスペンスが高まる。

気は強いが家族を亡くし、憂いを含んだニコール・キッドマン。
気の進まない仕事から、次第に心を開いて行くショーン・ペン。

殺戮は憎しみの連鎖を生むだけと分かっていても。それを乗り越える道はあるのか。

「テロ撲滅という名の大量虐殺は今の世界のことだ」という声が聞こえるようだ。



『ザ・インタープリター』 (2005年アメリカ イギリス フランス)

監督:シドニー・ポラック(トッツィー 愛と哀しみの果て )

出演者:ニコール・キッドマン ショーン・ペン

☆☆☆☆ 80点

『日本で一番悪い奴ら』

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綾野剛の重厚で繊細な「悩める青年」の演技に期待してシネマコンプレックスに出掛けたが、やたらと怒鳴り散らし、動きの激しい綾野剛はやや意外だった。

15年以前に、
警視庁の出した拳銃摘発指令に実績最優先で臨んだ北海道警察の潜入捜査(おとり捜査)の危険と卑劣さをヒントに描いた綾野剛主演の映画。

拳銃の数さえ上げればいい実数優先に走ってしまった道警は、反社会組織の中にスパイを潜り込ませ、麻薬密輸と引き換えに、海外から大量の拳銃を持ち込ませる、成績向上を目論んだ、「稲葉事件」という不可解な動きがあったが、それが下地になっていると聞く。

組織として動いた手法が、個人の犯罪にすり替えられたのではないか、という疑問が付いて回る事件が、この映画を作らせたのかも知れない。

脚本と監督の意気込みが伝わってくる、スピーディーな凄まじい映画に仕上がった。その意味では綾野剛主演は適役だったのだろう。

『日本で一番悪い奴ら』(2016年日本)

監督:白石和彌

出演者:綾野剛 YOUNG DAIS 植野行雄 矢吹春奈 瀧内公美 田中隆三 みのすけ 中村倫也 勝矢 斎藤歩 青木崇高 木下隆行 音尾琢真 ピエール瀧 中村獅童

☆☆☆★ 70点

道警の事件を、最近ジャーナリスト青木理氏のラジオトークで聞き、大変興味があったことも付け加えたい。

『メンフィス・ベル』

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高射砲と俊敏な独爆撃機が乱舞する中を、ヤンキーの重爆撃機が、ドイツ軍需工場を空爆するため、突き進む空中戦が見せどころの映画として、何度もテレビ放映されている名画だが、相当カットされているので、出来たら字幕オリジリナル版をお勧めしたい。

1943年5月、連合軍劣勢下のイギリス。

1941年に始まった世界大恐慌真っただ中。

アメリカの貧しい家庭の青少年達は家計を助けるために軍隊に志願。訓練を受けて、43年にはノルマンディー上陸作戦の捨て駒になるため大量に、イギリスに送り込まれた。当時のアメリカ兵の主拠点はイギリスだったのだ。

そんな中、アメリカ空挺隊の若者達は、昼間のドイツ空爆を続けていたが、成果が上がらないながら、25回出撃し帰還したら帰国出来る約束に僅かな夢を託す。

目的地はドイツ北部のブレーメン。黒々とした機体に女性の艶やかな肢体が描かれた4発B-17爆撃機『メンフィス・ベル』は最後の出撃に飛び立つ。

バックに流れるのは曲は、アイルランドの民謡「ダニーボーイ」

因みにノルマンディー上陸作戦は1944年6月6日に連合軍によって行われたドイツ占領下の北西ヨーロッパへの侵攻作戦。ここでは連合空軍が、大失態を演じ見方を大量に失う。

『メンフィス・ベル』(1990年アメリカ)

監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ

出演者:マシュー・モディーン
エリック・ストルツ
テイト・ドノヴァン
D・B・スウィーニー
ビリー・ゼイン
ショーン・アスティン
ハリー・コニック・ジュニア

☆☆☆ 60点

『最強のふたり』排他主義がはびこる今こそ見て欲しい

ヘイトスピーチ、黒人射殺、反イスラムと、ものごと総て世界規模で動いていた副作用かのように、人種差別、排外主義台頭のこの時期にこそ、多くの人に見てもらいたい秀作だ。

柄は悪いが純朴なにわか介護士と、パラグライダー事故で手足が不自由な車椅子の紳士の、ユーモラスな本音の会話が胸を打つ。
二人ともわがままで偏屈なんだけど、偏見などどこ吹く風。付き合ってみると深く通じ合うものがあるのだ。


『最強のふたり』 (2011年フランス )

監督:エリック・トレダノ
オリヴィエ・ナカシュ

出演者:
フランソワ・クリュゼ
オマール・シー
アンヌ・ル・ニ
オドレイ・フルーロ

音楽:ルドヴィコ・エイナウディ

☆☆☆☆ 80点


2011年第24回東京国際映画祭コンペティション部門最高賞・東京サクラグランプリ、最優秀男優賞受賞(フランソワ・クリュゼ オマール・シー) 第37回セザール賞・主演男優賞受賞(オマール・シー)。

『AMYエイミー』グラミー賞歌手エイミー・ワインハウスの悲しい人生

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小説でなくても「破滅型」は好きな方だが、女性アーチストともなれば、悲哀を感じる。

ポッと出の小娘があっという間にジャズ歌手としてスターダムにのし上がり、人気と収入に自分を見失うのは当然だろうが、大好きな歌にのめり込まず、杖代わりに寄りかかった恋人のドラッグ遊びに溺れ、我を忘れてしまうのは早い。

ライブのステージに、ベロンベロンになって登場し、一曲も歌えず、へたり込んで罵声を浴びる姿は、涙を誘う。

ドラッグから抜け出ても酒が有る。やがて泥沼に陥り、27歳の才能を燃焼してしまったのも又人生か。

年は違ってもジャニス・ジョプリンやホイットニー・ヒューストンの最期とまったく同じだ。

多くの方が、グラミー賞まで上り詰めた歌手エイミー・ワインハウスの、歌と映像にたまらない魅力を感じるだろう。ボクはCDを注文した。

『AMYエイミー』(2015年イギリス・アメリカ合作)

監督:
アシフ・カパディア

出演:
エイミー・ワインハウス
ミッチ・ワインハウス
マーク・ロンソン

☆☆☆☆ 80点

『人生の特等席』

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「ユーアー マイサンシャーイン マイオンリー サンシャイン ユー メイクミー ハッピー?」空が曇っても幸せにしてくれる・・懐かしい歌が流れてくる。

イーストウッドは、家では裸で飲んだくれのグータラ生活を送っているらしいが、実は人生の機微に触れるような(『ミリオンダラー・ベイビー』『グラン・トリノ』がそうだった)こんな素晴らしい映画の構想を練っているのだろう。監督のロバート・ローレンツは彼の愛弟子である。

年老いた野球スカウトの契約もあと3ヶ月。パソコンを使ったデータより、現場主義を貫いて来たのに、最近目が見えにくくなって苛立ちが甚だしい。

そんな姿を見た親友が、疎遠になっている娘さんに、2・3日お父さんに付き合ってあげて欲しいと頼む。

勇退前の頑固な父親と、スキルアップした大事な時期の女性弁護士親子の、葛藤しながらも次第に打ち解けて行く姿にあたたかい安堵を覚える。

娘がずっと小さな頃、野球を見に、連れて行ってもらったり、お父さんの自論を聞かされていた下地があってのこと。パソコンのデータより自分の目を信じて来たお父さんの頑固な生き様に目覚めた娘の人となりを、エイミー・アダムスが好演している。


『人生の特等席』(2012アメリカ)

監督:ロバート・ローレンツ

出演:クリント・イーストウッド
エイミー・アダムス他

☆☆☆★ 70点

『セレンディピティ』

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クリスマスのチャリティーで、カシミヤの黒い手袋に同時に手を出したジョナサンとサラは、互いにパートナーがいると強がりを言いながら、惹かれ合う感情をどうすることもできないまま、偶然の出会いという運命に再会の可能性に賭ける。

初版本の裏表紙にサラが書いた名前と住所に賭けて別れてしまったのだ。

他の人との結婚を前に『運命のお告げ』にこじつけて、互いが相手を探し始める。

一途な想いは、かなえられるのか、そんなあまい世の中ではない現実に忘れ去られていくものなのか。夢のような物語に浸れる映画です。

当時ハリウッドで絶大な?美貌を誇った人気女優ケイト・ベッキンセイルをとくとご覧あれ。まだ現役です。タイプではないが人気には抗えない。


『セレンディピティ』(2001年 アメリカ) (幸運な偶然)

監督:ピーター・チェルソム

出演者:
ジョン・キューザック
ケイト・ベッキンセイル
ジョン・コーベット
ジェレミー・ピヴェン
ユージン・レヴィ
ブリジット・モイナハン

☆☆☆★ 70点



『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』

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元騎兵隊大佐のアンソニー・ホプキンスはモンタナの田舎牧場で、出て行った妻との子供、3兄弟を育てる。やがて成長した子供たちは第一次大戦に志願して家を出て行くが、結婚していた末っ子は戦死、長男は政治家を目指すが、次男のブラピは野生人と化して帰ってくる。

ブラット・ピットの快作、連続殺人鬼を追う刑事役『セブン』の前年の作品。

ブラピのブラピらしい、悲しいまでの繊細さと野性味が開花した記念すべき傑作です。

『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』(1994年 アメリカ)

監督:エドワード・ズウィック

出演:ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス、エイダン・クイン、ジュリア・オーモンド

☆☆☆☆ 80点

『ワイルド・スピード ICE BREAK』

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カーアクションだけと思ったら、例のファミリーがゴチャゴチャになって悪に挑む陸海空戦。といっても戦争ではなく娯楽アクションで、さして心躍らせるシロモノではなかったが、ラストに(予告編でネタバレの)意外な?見せ場があるから何とか引っぱれたシロモノ。不景気の気晴らしまでは行かなかった。

巨大な金庫を引っ張り回す『ワイルド・スピード MEGA MAX』(5作目)のおぞましさの方がはるかに面白かった。ついでに言うと(交通事故死した)よか男のポール・ウォーカーがいないのが、いかにも寂しい。スキンヘッドのヴィン・ディーゼルだけでは持たないよ。

余談だが、

やつと地方の映画館もシニアの身分証明書を出さなくてもいいようになったのは喜ばしい。東京では遥か以前から自己申告だけOKだ。

今回から、ポイントカードにワッペンを貼ってくれるだけではあるが・・

『ワイルド・スピード ICE BREAK』(2017年アメリカ)

監督:F・ゲイリー・グレイ

出演者:

ヴィン・ディーゼル
ドウェイン・ジョンソン
ジェイソン・ステイサム
ミシェル・ロドリゲス
タイリース・ギブソン
クリス・"リュダクリス"・ブリッジス
スコット・イーストウッド
ナタリー・エマニュエル
エルサ・パタキー
カート・ラッセル
シャーリーズ・セロン

音楽:ブライアン・タイラー

☆☆☆ 60点

『おとなのけんか』

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子供のケンカの和解のはずが、いつしか、言いたい放題の罵り合いになる二組の夫婦の会話が、日頃の不満のはけ口に発展するシリアス・コメディー。小道具の携帯とウイスキーの使い方が実に上手い。


『おとなのけんか』( 2011年 フランス・ドイツ・ポーランド・スペイン)

監督
ロマン・ポランスキー

出演者
ジョディ・フォスター
ケイト・ウィンスレット
クリストフ・ヴァルツ
ジョン・C・ライリー

☆☆☆☆ 80点

『隠し剣 鬼の爪』

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藤沢周平はかなりまとめて読んだ時期があったが、内容はほとんど忘れた。

この映画は藤沢周平の中でも少ない部類の剣豪ものであり興味つきないが藤沢周平というより山田洋次の時代劇のなかの一作品。

ほぼ『男はつらいよ』シリーズの監督としての印象が強すぎるが、『たそがれ清兵衛』『武士の一分』などこの分野でも大御所なのだ。たまたま「母べえ」を見た後になったのも何かの縁か。
繊細で理詰めないい作品だが、あの終わり方は気にくわない。

『隠し剣 鬼の爪』(2004年日本)

監督:山田洋次

原作:藤沢周平

出演者:
永瀬正敏
松たか子
小澤征悦
吉岡秀隆
田畑智子

☆☆☆★ 70点


『母べえ』 共謀罪が強行採決された今こそ必見 シネマノカンソウ

吉永小百合は大女優だけどなぜか役柄にしっくりしないまま話に引き込まれていく。山田洋次監督の「戦争の悲惨」は空襲や戦闘シーンではなく、市井の人の惜別と怒りを真正面から描いて心打たれる。

浅野忠信が吉永の夫の教え子の立場で、話のつなぎ役として絶妙な立ち回りを演じ、志田未来と佐藤未来の姉妹役が役にはまっている。人の優しさに涙が出て仕方がない映画だ。

日中とも宣戦布告をしないまま中国大陸で戦闘が始まっていた昭和16年支那事変の頃。詩を書いただけで治安維持法違反 、国家反逆罪の国賊として留置された教師・坂東三津五郎には妻子がいた。
大滝秀治医師が呟く「いやな世の中になったもんだね。不合理なことに対して、無神経にならなくては生きていけないんだから」

「一般人は捜査の対象にならない」と明記しない「共謀罪」が強行裁決されようとしている「権力の反対勢力を拘束出来る」トルコのエルドアン方式が欲しくてたまらないのだろう。

『母べえ』(2008年 日本)

監督:山田洋次

脚本:山田洋次 平松恵美子

出演者:
吉永小百合
浅野忠信
檀れい
志田未来
佐藤未来
坂東三津五郎
音楽
冨田勲
撮影
長沼六男

第82回(2008年度)キネマ旬報ベストテン7位

☆☆☆☆ 80点

『サウルの息子』 ホロコーストの叫び シネマノカンソウ

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ハンデイカメラが男に密着し、

ホロコーストのおぞましい様相を追う。


ガス室に送り込まれる人々の息づかい、

絞り出される声、

閉められた鉄扉を叩く

こぶしの音、

飛び交う単語、

怒鳴り合い。



人間を大量に抹殺して行く収容所で、

ガス室に誘導し、

遺品や遺体を処理するのも

同じユダヤの仲間。

抵抗すれば殺される。

僅かな糧で

寝ることすらままならない。

彼らもまた

ハンナ・アーレントのいう

「対独協力者」

と言われるのだろうか。

目の前で殺された

見知らぬ少年の遺体を、

なんとか

手厚く葬りたい男の思いは、

生きることを許されない

絶望の中の祈りのようなもの。



『サウルの息子』


(2015年 ハンガリー)

監督:ネメシュ・ラースロー

出演:ルーリグ・ゲーザ

2015年・第68回カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞

☆☆☆★  70点

51回織田記念陸上スナップ

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女子100M予選 福島千里(札幌陸協) 途中棄権(両ふくらはぎ痙攣)

追記 5/3 静岡国際200M 23秒91(優勝)

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男子100M決勝 1位 桐生祥秀(東洋大) 10秒04

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女子100M決勝 途中棄権 土井杏南(大東文化大)

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女子100M決勝 2位 中村水月(大阪成蹊大)11秒74 3位 市川華菜(ミズノ)

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木村文子

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女子100MH 2位 木村文子(エディオン) 13秒21 (左端)


『セッション』 叩いて競わせ絶対におだてない  シネマノカンソウ

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叩いて競わせ絶対におだてない。ドラムスは正確なリズムが生命だが、それ以上にジャム・セッションを作り上げる魂のようなものが必要だ。

この映画ではトリオでもクインテットでもなく、全米一の音楽学校の授業だからのビッグバンド形式をとっている。

ジャズ・ドラムスのセッションには主奏者と副奏者を置き、副が2人になることもある。微細な過ちも見逃さない耳と容赦ない交代で、けなし、挑発して、奏者の反感をエネルギーとして引き出す指導のやり方が、パワハラとして排除されないのは、部活や趣味のバンドとは異次元の、プロを目指すミュージシャンの集団だからだ。

『25年目の弦楽四重奏』という2012年の映画は、http://266266-93.at.webry.info/201308/article_48.html
私生活の激しい葛藤や破綻が、演奏に昇華する様を感動的に表現していたが、この映画でも、音楽はダラダラとうまく演奏するのではなく、内からほとばしる音の凄さが聴衆を感動させると訴えている。

ただ、あまりにも激しい指導に、耐えきれない犠牲者がいることも、しっかり挿入されていて丁寧だ。

『セッション』 (1014 アメリカ)

監督:デイミアン・チャゼル

キャスト:マイズル・テラー J・K・シモンズ ポール・ライザー

☆☆☆☆ 80点



『戦火のナージャ』 戦争の悲惨と父娘の恩愛を描く  シネマノカンソウ

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ソ連軍の元師団長コトフ大佐は、 政治犯で処刑されたはずだったが、 同志スターリンは陰湿な嗅覚から、 付き合いのあった諜報員ドミートリに彼を探し出せと命じる。

静と動。 戦闘と骸。 遠景とクローズアップ。 明と暗。 美しい映像を通してし、 戦火に翻弄される父娘の恩愛を描く。

ファシズム・ドイツがソ連に侵攻する所から始まる映画は、 戦争がいかに悲惨で残酷なものかを 1ページずつ剥ぐって見せた。

ニキータ・ミハルコフ監督の戦争3部作。「太陽に灼かれて」「戦火のナージャ」「遥かなる勝利へ」 最後の作品を再度見たくなった

『戦火のナージャ』(2010年 露 仏 )

監督:ニキータ・ミハルコフ

出演:ニキータ・ミハルコフ  ナージャ・ミハルコフ  オレグ・メンシコフ

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』エマ・ストーンの異常に大きな瞳はどーだ!

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とにかく"風刺と皮肉がきいた台詞が満載な映画です。外国だと劇場内で大笑いするところでしょうが、日本は静かに鑑賞するのがマナーとすり込まれているので"クックッ"と咬み殺すだけ。

マイケル・キートンはかつて映画バットマンで名を馳せた売れっ子だったが、今では売れない舞台俳優。薬物更生施設から帰った娘エマ・ストーンが付き人だがBlog・TwitterやFacebookをやらない父親をバカにしており喧嘩ばかり。怪我した相手役に代って雇った男優エドワード・ノートンは、セリフ覚えがいいことを鼻にかけた、いけ好かない野郎なのに、娘にチョッカイを出す。妊娠したと言い寄る女優が居るかと思えば、喧嘩別れした妻ナオミ・ワッツはしばしば現れてはツネツネして行く。もう気にくわないことばかりで、荒れること荒れること。 

人生なんて思い通りいかないもんで、ほとんど苦しいだけですよ。ただ"あの頃は良かった君"マイケル・キートンは、物は壊す、人はブン殴る、能動的落込み様はアメリカンですね。

舞台も観てないのに、勝手にこき下ろす女性記者が、映画俳優を蔑視した記事を書きなぐるエピソードなどありそうで面白い。

娘役エマ・ストーン のヘンテコリンな、異常に大きい瞳の吸引力はどーだ!

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

(2014年米)

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

出演:マイケル・キートン  エドワード・ノートン   エマ・ストーン  ナオミ・ワッツ

受賞:アカデミー作品賞、アカデミー監督賞、アカデミー脚本賞

☆☆☆★  70点

『ムーンライト』 シネマノカンソウ

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黒人だけの映画だが、月の光と黒い海に意味を求めても仕方なくp

差別と暴力に逆らえず、親の愛にも触れられない彼らにとって、頼りになるものも、人生の目標もない中で、どうやって生き延びることができるのか。

シャロンの学生時代までは、薬に溺れ子育ても放棄していた母親が後年、彼に謝るシーンが泣かせるが、もう遅いのだと叫びたい思いが胸をうつ。

この世界のことは分からないが、シャロンとケヴィンがそっと寄り添うことで、理不尽な想いから離れ、安寧が得られるなら、外からの理解以上の宝なのだろう。

『ムーンライト』(2016 アメリカ)

監督:
バリー・ジェンキンス

出演者:
トレヴァンテ・ローズ
アンドレ・ホランド
ジャネール・モネイ
アシュトン・サンダース
ジャレル・ジェローム
ナオミ・ハリス
マハーシャラ・アリ

音楽:
ニコラス・ブリテル

撮影:
ジェームズ・ラクストン

第74回ゴールデン・グローブ作品賞
第89回アカデミー作品賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)脚色賞受賞

☆☆☆★ 70点

『マリアンヌ』 マリオン・コティヤール あってのスパイ映画 シネマノカンソウ

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たとえ敵側の諜報員であっても、好きになってしまったら007のスパイのようにカラッと割り切って対処する訳にはいかない。1942年、ナチスが暴虐を極めていた時代の暗いカサブランカとイギリスを舞台に、ファッションとクラシックカーが雰囲気をかき立てる。

ブラピとアンジェリーナ・ジョリーの『Mr.&Mrs. スミス』の様なアクションが売りではなく、男女のスパイ同士が協力し、あるいは互いに探り合いながらミッションを遂行して行く緊張感が幹になって、えも言われぬ名作の香りがする愛のスパイ映画となっている。

敵なのか味方なのか悩まされる妖しい美女マリオン・コティヤールがなかなか見せる。彼女なくては出来なかった映画だろう。

『マリアンヌ』(2017年アメリカ合衆国)

監督:
ロバート・ゼメキス

出演者:
ブラッド・ピット
マリオン・コティヤール
リジー・キャプラン
マシュー・グッド
ジャレッド・ハリス

音楽:
アラン・シルヴェストリ

撮影:
ドン・バージェス

☆☆☆☆ 80点


<マリオン・コティヤール>

1975年9月30日生まれ
フランス/パリ出身
オルレアンの演劇学校を首席で卒業。「ロング・エンゲージメント」でセザール賞助演女優賞。「エディット・ピアフ~愛の讃歌~」でアカデミー賞主演女優賞。グリーンピースのメンバー。

『招かれざる客』 差別を乗り越えるもの シネマノカンソウ

肌の違いに寛容な家庭の娘が、有色人種の彼を連れて実家に帰り、結婚の許諾を求める。

彼の母親が彼女の父親に独白

「年を取るとなぜ男の人は忘れてしまうの?若い2人はお互いを必要としています。生きるのに空気が必要なように。

2人を見れば分かります。
でも、あなたも主人も目が見えないのかしら。問題ばかり見てるから、2人の気持ちが見えない。男性は年を取ってセックスから遠ざかると忘れてしまうのですね。かつての恋の情熱を。

息子のお嬢さんへの思いをあなたは忘れてしまった。主人もそうです。遠い昔の熱い思いがもはや消え去っている。男の人は情熱を思い出しもしないこと。思い出せばそんな仕打ちはできません」

排他主義ではなくても、心に引っかかる民族蔑視の歴史を乗り越えるものは何か。

舞台劇の様な会話主体の家庭劇だが、心にしみる映画だ。

『招かれざる客』 (1967年アメリカ)

監督
スタンリー・クレイマー
脚本
ウィリアム・ローズ
製作
スタンリー・クレイマー
出演者
スペンサー・トレイシー
シドニー・ポワチエ
キャサリン・ヘプバーン

☆☆☆☆ 80点

第40回アカデミー賞・主演女優賞(キャサリン・ヘプバーン)、脚本賞受賞。スペンサー・トレイシーの遺作

『切腹』 モノクロ画面が美しくも悲しい傑作 シネマノカンソウ

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関ヶ原後、主君を失い仕事がなくなった武士は、狭い庭を耕したり手内職で食いつなぐしかなかったが、食うに困った家庭を持ち侍の貧困は悲惨を極めた。

そこで現れたのが「切腹稼業」
玄関先に現れては「切腹のためお庭拝借」と申し出で、汚されたくない上屋敷側が金子を握らせて追い払うという稼業が流行った。

話は、傘張りをする父と身重の妻を持つ侍が、背に腹はかえられず敢行したのがみみっちい「切腹稼業」

だが、武士の鏡である大小を下げて乗り込んだはいいが「切れるものなら切ってみろ」と開き直る意地悪な家老が現れる。

ハラキリの残酷さと親子愛が絡んで、凄惨な修羅場が展開されるモノクロ画面が美しくも悲しい傑作。

『切腹』(1962年 日本)

監督:小林正樹

脚本:橋本忍

出演者:仲代達矢 石浜朗 岩下志麻 丹波哲郎 三國連太郎

カンヌ国際映画祭・審査員特別賞受賞

☆☆☆☆ 80点

『スラムドッグ$ミリオネア』 スラムの残酷と美しい俯瞰図 シネマノカンソウ

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2000万ルピーのテレビクイズ番組「クイズ・ミリオネラ」に挑戦し、みるみるうちに満額獲得に迫るスラム育ちの少年。

しかし、幸運が重なったからといって正解が続けられるはずがなく、警察に突き出される。

「インチキのカラクリは何だ?」
ここからスラムの残酷な実態と、生きざるを得ない子供たちの実態を、美しい俯瞰カメラがあばきだす。

赤児をさらって歌を教え、視力を奪ってもの乞いにする商売がある。

首都ムンバイが、まだボンベイと呼ばれていた頃の最下層集落スラム街を、あらゆる手段を使って抜け出して来た子供達の群像を、 ダニー・ボイル監督が斬新な映像で迫っている。

ただ、(国民性の違いからか)映画の雰囲気を、良く理解できたとは言えない自分が、呆然としてたたずむ映画でもあった。

『スラムドッグ$ミリオネア』
(2008年イギリス)

監督:ダニー・ボイル

出演者:デーヴ・パテール
マドゥル・ミッタル
フリーダ・ピントー
アニル・カプール
イルファーン・カーン

第62回英国アカデミー賞
第81回アカデミー賞作品賞

☆☆☆★ 70点

『ブリッジ・オブ・スパイ』スパイは物なのか人格なのか シネマノカンソウ

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国を背負ったスパイというのは、単なる物なのか人なのか、最先端の戦士なのか。捕虜になったスパイは、情報を沢山持っているから奪い返さなくてはならないが、相手側も、吐いてしまわない以上放免するはずがなく、八方塞がりの中で、駆け引きの仲介役に民間人が指名される。

ただ、一介の民間弁護士(トム・ハンクス)が、スパイ交換と同時に、民間の青年も助けなければならない必然性は、デヴィッド・ボウイの曲「ヒーローズ」♪忘れないよ あの壁の横で 銃弾が2人の頭の上をかすめていったこと・・・にあるのだが、そこが描かれていたかどうかは、ストーリーとして極めて重要なのだが。


『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015年/アメリカ)

監督:スティーブン・スピルバーグ

出演:トム・ハンクス

☆☆☆★ 70点

『レヴェナント: 蘇えりし者』 這いずり回るディカプリオ シネマノカンソウ

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ディカプリオが

アカデミー主演男優賞を

初受賞したという先入観は

持たない方がいい

何しろディカプリオは

熊に襲われ満身創痍

苦悩の呻きをあげながら

ただ寝転び這いずり回る

だけなのだから



しかし

やがて分かる野獣の様な生命力

瀕死の重傷を負いながら

復讐に燃える男の生への渇望は

飢えた肉食獣と同じ

空腹に耐え

偶然出会ったエネルギーの源は

凍りつく獣の生肉を

腹一杯食いだめすること

そうしなければ生き残れない

胃腸の頑健さだ



ボクなんて

好きな馬刺しをガッついて食べたところで

腹痛を起こし

1日として生きられないだろう



物語は

砂金を求める西部劇ならぬ

極寒のアメリカ北部をさまよう

野生動物の皮剥ぎ集団が

原住民の抵抗に遭遇しながら

仲間に見捨てられ

一人で生きて行かねばならない

生命力のすごさがポイントだ



『レヴェナント: 蘇えりし者』 (2016年アメリカ)

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

原作:マイケル・パンク

出演者:レオナルド・ディカプリオ
トム・ハーディ
ドーナル・グリーソン
ウィル・ポールター
フォレスト・グッドラック
ポール・アンダーソン
ブレンダン・フレッチャー

音楽:坂本龍一

☆☆☆★  70点

『紙の月』 シネマノカンソウ

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世の中、一見いいことを装ってるが、みんな嘘なんじゃないか。
「偽物だから壊したって、壊れたっていい。そう思ったら体が軽くなって、なんでも出来る」公金横領の女性銀行員が吐露した叫びは、為政者達への皮肉にも聞こえる。こころの解放を迫る映画だ。

宮沢りえと小林聡美に、繊細な目の表情でこころの動きを表現させた、日本映画では珍しい繊細な吉田監督の世界だ。

『紙の月』(2014年日本)

監督:吉田大八

脚本:早船歌江子

原作:角田光代

出演者:
宮沢りえ
池松壮亮
大島優子
田辺誠一
小林聡美

撮影:シグママコト

☆☆☆☆  80点

■吉田 大八(1963年生れ52歳)

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
『パーマネント野ばら』
『桐島、部活やめるってよ』(日本アカデミー賞第36回最優秀監督賞

『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』 生きがいとは シネマノカンソウ

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ほのぼのと嬉しくなる映画だ。

メガ宝くじで100万ドルが当たり歩いて取りに行く老いた父親。

100万ドルでトラックとコンプレッサーを買うという。細君はそんな金があったら老人ホームに入れると突っぱねる。

ただ生きがいを求めているのだろうと理解する次男(女に逃げられたAV機器店店長)が、同じ思いで父親をサポートしながらモンタナからネブラスカのリンカーンをめざす。

本物に巡り合った感のする美しいモノクロの映画だ。

『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』(2014年 アメリカ)

監督:
アレクサンダー・ペイン

出演者:
ブルース・ダーン
ウィル・フォーテ
ジューン・スキッブ
ステイシー・キーチ
ボブ・オデンカーク

第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門・男優賞(ブルース・ダーン)

☆☆☆☆ 80点

『エゴン・シーレ』 シネマノカンソウ

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彼は女体のモデルがなければ描けなかったのか。想像や妄想では創作出来なかったのか。そうは思えないが、モテ男のシーレに寄って来る女は引きも切らず、彼女らをモデルに描きまくったようだ。

若くして亡くなったシーレには膨大な素描が残ったが(彼は素描画家なのだ)残念なのは、画家の伝記映画なのに、絵を描くシーンがほとんどないこと。この手の映画に期待するのは、どんな画材を使って、何にどうやって、どんな雰囲気で描いたかということなので、大層期待外れだった。

その点アンディ・ガルシアの『モディリアーニ 真実の愛』http://s.webry.info/sp/266266-93.at.webry.info/200508/article_21.htmlは傑出した映画だった。

監督のねらいは、どうしょうもない放蕩男(犯罪ですらある)が才能を持て余して、第一次世界大戦前後の激動する短い時代を生きた「もったいなさ」にあるようだ。

■エゴン・シーレ(画家・オーストリア 1890年?1918年 28歳)

『エゴン・シーレ』(2016年 オーストリア・ルクセンブルク)

監督:ディーター・ベルナー

出演: ノア・サーベトラ マレシ・リーグナー ファレリエ・ペヒナー

☆☆☆ 60点

『シン・ゴジラ』 世相を揶揄した痛快な作品 シネマノカンソウ

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「ゴジラ」はアメリカ版を含めて、いろいろ見てきたが、存在感といい怖さといい存分に楽しめる映画になっています。

それと共に、世相を揶揄した痛快な映画ということもできます。

やたらと会議を開きたがり、出世欲に凝り固まった政治家のいやらしさ。有識者会議という形だけのパフォーマンス。アメリカの属国にすがりつくくせに頼りにする主体性のなさ。国が破綻した時を狙うハゲタカ等。

映画が終わった時に、パラパラと拍手がわいたのは稀勢の里が勝った様なものなのか、首都圏を破壊しまくるゴジラが、自衛隊のあらゆる火器を浴びせ掛けられ、可哀想な感情がわいた拍手だったかもしれない。

『シン・ゴジラ』(2016年日本)

監督:庵野秀明

樋口真嗣(監督・特技監督)

出演:長谷川博己  竹野内豊  石原さとみ

☆☆☆★  70点


新星あらわる!安藤友香 2時間21分36秒 名古屋ウィメンズ

名古屋ウィメンズマラソン2017(ナゴヤドーム発着)

33キロまで3連覇を目指すE・キルワに併走した初マラソンの安藤友香(豊川高・スズキ浜松AC)が、2位ながら、2時間21分36秒の初マラソン日本最高でゴールラインに飛び込んだ。

正に新星登場の好レース。省エネ・ピッチ走法は最後までスピードが落ちず、天性の才能を感じます。さらにトレーニングを積んで(故障の少ない)トップ選手に育つことを期待したい。

1、E・キルワ(バーレーン) 2時間21分17秒 3連覇 PB

2、安藤友香(スズキ浜松AC) 2時間21分36秒 PB

3、清田真央(スズキ浜松AC) 2時間23分47秒 PB

(速報)

(9:00 晴れ 7.0℃ 44% 北東の風1.0M)

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』したたかで反骨心旺盛な生き様  シネマノカンソウ

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1950年代、ハリウッド映画華やかな頃、マッカーシー旋風という名の「赤狩り」が行われ、政府職員・マスコミ等、誰彼なく当局に呼び出され尋問の末、無理やり『赤』というレッテルを貼らされて生業から追放されていった。移民排斥の現代にもつながる集団ヒステリーの時代だ。


特に学者やハリウッドで映画作りを営む有名人がやり玉に挙げられた暗く悲しい時代だっだ。

チャップリンなどは、嫌気がさして、いち早くアメリカを去ったが、当時、体制側だとやり玉に上がったのが、人気俳優のジョン・ウェインだった苦い思い出がある。


脚本家のトランボも下院非米活動委員会の協力を拒否し投獄されるが、釈放後は活動の場がなく、偽名を使って2流3流の脚本で食いつなぎ、やがて名作を残すまでになる。絶望から逃げず、したたかで反骨心が旺盛な彼の生き様は、極端に右傾化して行く時代の、生きるヒントになるかもしれない。

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』

(2015年/アメリカ)

監督:ジェイ・ローチ

出演:

ブライアン・クランストン
ダイアン・レイン
ヘレン・ミレン

☆☆☆★  70点

『ディファイアンス』 ダニエル・クレイグが好演

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リーダーが目立てば反感を持つ者も現れる。兄弟は他人の始まり。死と対峙した逃避行では、腕力でしか解答がない場合もある。ツートップが激しくぶつかり合いながら集団脱出する反ナチ抵抗もの。

ダニエル・クレイグがナチに追われ、疲労と空腹に苦しむ難民と、当てのない逃避を続ける青年を好演。『007/慰めの報酬』よりはるかに印象的な役柄を演じ切っている。

1941年ドイツ軍がベラルーシを占領 。ナチス親衛隊と地元警察がユダヤ狩りを始めた時期。数週間で殺された者5万人。更に100万人が強制移送と死を目前にした実話。

1941年8月のリピクザンスカの森から12月、飢えと寒さのナリボッカの森へ。1942年4月更にナリボッカの湿原に迷い込む。ドイツ兵にレイプされるが、産むことに生きる証を求める女性を始め、生き残った1200人のエピソードだ。

肉親を殺したのは自分の国の警察。逃げ込んだ森で人を助ければ食い扶持が増える。坐して死を待つしかないゲットー(ユダヤ人強制収容所)の同士を救い出し、パルチザンと組んでナチスと戦う兄弟。

『ディファイアンス』(2008年 米)

監督:エドワード・ズウィック

出演:ダニエル・クレイグ リーブ・シュレイバー

☆☆☆★ 70点

佐々木悟 2時間10分10秒 びわ湖毎日マラソン

第72回びわ湖毎日マラソン(皇子山陸上競技場発着 42.195km)マラソン日和にかかわらず低調なレースに終わった。

マラソン2度目、期待の一色恭志(青学大)は途中棄権。35キロまで日本勢のトップを快調に飛ばしていた初マラソンの村沢明伸(日清食品G)はグロッキーとなり28位。部品は良くても燃料を蓄える体質がなければ、世界は見えてこない。

1、E・チェビー(ケニア) 2時間9分6秒

2、V・キプルト(ケニア) 2時間9分15秒

3、S・ムタイ(ウガンダ) 2時間9分59秒PB

4、佐々木悟(旭化成) 2時間10分10秒

5、松村康平 (MHPS) 6、石川末廣(ホンダ)

(速報)

(12:00 晴れ 11、0℃ 50%)

『扉をたたく人』 涙を誘う音楽の力と移民の不条理

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そっと人に寄り添う作り手の優しい眼差しが熱い。

つれあいを亡くした老教授リチャード・ジェンキンスは音楽が唯一の趣味で、過去に4人のピアノレッスンを受けていたが今の先生に「その年で楽器をマスターするのは無理です。ピアノを手放すなら私に譲ってください」と最後通告を受け、気が滅入るばかりだった。

そんな彼がNYの学会に出たあと、使っていない自分のアパートに行ってみたら見知らむカップルが住んでいるではないか。シリアとセネガル出身の有色カップル。男は打楽器のジャンベを叩きストリートミュージシャンからの脱却を夢見る明るい若者ハーズ・スレイマン。

やがて教授はアフロビート3拍子の打楽器へ惹かれていく。そんなある日些細な事で尋問を受けた若者は不法滞在の疑いで拘置される。そこへ、心配するからと連絡しなかったのに、突然フロリダから訪ねてきたのはシリア出身の思いつめた母親ヒアム・アッバス。息子が捕まっている以上は近くに居たいと帰るそぶりもない。

拘置者の面会で、ガラスを挟んでテーブルを叩き合うリズムだけの会話がえもいわれぬ感動を誘う。手芸品を扱う若いダナイ・グリラのおしゃれなファッションが品のいい雰囲気だ。
9・11後に移民の滞在条件が厳しくなったアメリカ社会の不条理を描く秀作。そっと人に寄り添う監督の優しい眼差しが熱い。

『扉をたたく人』(2007年 米)

監督:トーマス・マッカーシー

出演:リチャード・ジェンキンス ヒアム・アッバス ハーズ・スレイマン ダナイ・グリラ

☆☆☆☆ 80点

エマ・ストーンの『ラ・ラ・ランド』 シネマノカンソウ

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「昔そんな事もあったなあ」と懐かしさが蘇るエマ・ストーンのミュージカル。

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』での目ぢからの強い彼女に出会って以来、思い続けてきた女優さんだ。

このミュージカルでは、あの目ぢからに再会することは出来なかったが、役柄が違うから当たり前のこと。それだけ何でも縦横にこなせる女優だと認識させられる。

さてこのミュージカル『シカゴ』や『ドリームガールズ』のような圧倒的ボリュームの音楽やダンスがある訳ではなく、女優志望の女性とジャズピアノを目指す男性の、挫折を乗り越えて励まし合う物語として涙をさそう。

いつもはサウンドトラック版CDを先に求め、曲を頭の中にたたき込んでから見るミュージカルだが、今回はこれからダウンロードしょうかと、逆の展開になった。

エマ・ストーンは目が大きいだけじゃなくて、表情の豊かな女優さんだな。

『ラ・ラ・ランド』(2016アメリカ)

監督:デミアン・チャゼル

出演者:ライアン・ゴズリング エマ・ストーン ジョン・レジェンド ローズマリー・デウィット

音楽
ジャスティン・ハーウィッツ

第89回アカデミー賞
監督賞、主演女優賞、撮影賞、美術賞、作曲賞、歌曲賞受賞作品。

☆☆☆☆ 80点

『恋におちたシェイクスピア』

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ロンドン1593年
劇中劇とパロディーを絡ませたシェイクスピア異聞。

この手の時代物ドタバタコメディーは苦手で、どうしても話に乗れないアレルギーがありますが、せめてヒロインに魅力があったらと思はない訳にはいきません。

グウィネス・パルトローはこの映画で第71回アカデミー賞主演女優賞をもらったわけですが、何しろタイプじゃないから、映画に入り込むには致命的ですね。

ただ、目が点になったのは、シェイクスピアが芝居の脚本を書く様子です。手をインクで真っ黒にしながら、滲むでもなく、滑るでもないザラ紙に、 朴訥な羽根ペンを置いていく感触が 、鉄筆で謄写版の原稿を書いていくような、彫刻刀で版木に輪郭を刻んでゆくような、クリエーターの胸に迫る力仕事に魅入りました。

『恋におちたシェイクスピア』(1998米)

監督:ジョン・マッデン

出演:グウィネス・パルトロー ジョセフ・ファインズ ジュディ・デンチ ジェフリー・ラッシュ コリン・ファース

☆☆☆ 60点

「ギルバート・ブレイク』

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オレん家には、浜に打ち上げられた鯨が居て家から出られない」崩れ落ちそうな木造屋に生息する、哀れを誘う、絶望した母親と知恵遅れの弟(レオナルド・ディカプリオ)から離れられない5人家族の長男(ジョニー・デップ)。世の下層で息を潜めて暮らす人達は、重たい人生を抱え、身動きが取れない。

希望といえば辛い別れしかないのだろうか。終わりに胸を打つ展開に泣かされるシリアスドラマ。我が国の総理にはとても理解出来ない階層の話だろう。ジュリエット・ルイスが救いの天使だった。

『ギルバート・グレイプ』(1993年 アメリカ)

原作:ピーター・ヘッジス

監督: ラッセ・ハルストレム

出演者: レオナルド・ディカプリオ ジョニー・デップ ジュリエット・ルイス

※レオナルド・ディカプリオがアカデミー賞にノミネートされた。

☆☆☆★ 70点