松本清張の「日本の黒い霧」で育った

夫人が関与してるよ

オマールの壁

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カナダの監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴの『灼熱の魂』という中東レバノンでの抵抗と復讐の優れた作品に底通した、同じ中東の紛争地パレスチナの抵抗運動をベースに、若い命の純愛が描かれ心を揺さぶられる作品だ。

思いを馳せる女性に会う為に、高さ8Mというコンクリートの壁をロープをたぐって登る、若さと体力がいる物理的困難の上に、見つかれば機銃掃射にみまわれ、向こうへ行っても抵抗運動の派閥があって気が遠くなる障害があるからこそ募る思いは燃え上がる。

もう一つの壁は、

戦争や紛争には相手の最も嫌がることを、これでもかと言わんばかりに突いてくる人間の醜悪な面だ。親子を引き裂き、若い男女の仲をめちゃくちゃにすることなど朝飯前だ。

しかし、恋は誰にも止められない。「ラ・ラ・ランド」の様な“永遠の恋がなんと!”というのもあるが、ロミオさまの様に妨害がひどいからこそ燃える炎もある。

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 80点

パターソン

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他人の才能を認められる人は自分の可能性にも積極的だ。たとえ2アウト満塁で三振しようとも。

バスの運転手をしながら小さなノートに詩を書き貯め、時にホームレスに小銭を差し出す男性。

彼の才能を直感するテキスタイルデザナーのミュージシャンを夢見る女性のカップルは毎夜抱き合って寝ているのだが、

それだけでいいじゃないか、売れなくても人の生き様なのだから。

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎80点

『セザンヌと過ごした時間』

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売れない画家の、早く世に出た幼なじみに対するやっかみの凄まじさ。

しかし物書きなら自分のことを書かねばならない現実において、画家の私生活は絶好のネタ。

それを晒さすしかないジレンマの繰り返し。

セザンヌはよくケンカしたという逸話は読み知っていたが、これほど激しやすい人とは思わなかった。

嫉妬が憎悪になり物を投げるは壊すは。

ゾラとセザンヌが互いを傷つけ合いながら認めてくれないアカデミーやサロンに悪態をつき創作に苦悩する姿が凄まじくも愛おしい。

「絵はやめない、描きながら死ぬ」

見かねたモデルを務める妻から「絵を辞めて!」と言われてセザンヌの人生はどうなったのか、物語としても出色だ。

2016年 仏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 80点

『ガザの美容室』

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パレスチナの超過密都市ガザの、ある美容室での女性たちの飾らない会話が超面白い。

表からは銃声が聞こえ、ライオンをペットにした男が復縁を迫る。

美容室というより応急設置の散髪屋という感じの「女の逃げ込み所」で繰り広げられる本音の吐露は、中東の人達独特の遠慮のないお喋りにあふれ、笑いを誘う。日本の女性にも受ける掛け合いだろう。

その人間味は人間賛歌のようだ。

2018年、パレスチナ・仏・カタール合作

⭐︎⭐︎⭐︎★(70点)

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ

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つまみは問題じゃない。ただひたすらにジンやウォッカを飲み続けるだけが生きがいの様な人々がたむろする一杯飲み屋に、もう顔が割れているはずの殺人鬼が、女を求めて夜な夜な現れるシチュエーションがいかにも終戦後の場末ムード。それでもいくらかは明るい男どもに較べ、苦虫を噛み潰し絶望感漂う肥った女達のなんと暗いことだろう。これらの秀逸なシーンが映画を引き立てる。

そんな場に、じわっと顔を出すのは戦争の悲劇。戦禍を被ってきた人達の姿だ。

主人公が住む四畳半ほどの屋根裏部屋は、頭が触れる様な斜めに走る梁の周りの壁一面にヌード写真がビッシリ貼られ、酒瓶が散乱した臭っさい空間。そこで展開される常軌を逸したアルコール依存とセックスと暴虐の限り。
戦争なんてもっと酷いことをやってると言わんばかりの暴力性は、チラッと出てくるフランクフルトソセージに象徴されるカットに帰着する。

面白い映画だ。一番怖いのは元将軍とかいう大男の存在だが、こいつは怖い。

それほどまでにしても揉み消したい公選法違反

検察の私物化には反対だ

わたしは、ダニエル・ブレイク

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「人をなんだと思ってんだ」という映画。
イギリス北部、考えられないくらい優しい周りの人々と、杓子定規で融通の効かない役所仕事・制度の冷たさ。
2人の子供を抱えながら給付金がもらえず悪戦苦闘するシングルマザーのケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)が、極貧の中でもしっかり両手で我が子へを愛おしむそぶり、先行きが見えない不安に暗い表情を晒しながら必死に生きる母親姿が涙を誘う。

ケン・ローチ監督作品 パルムドール受賞

★★★★ 80点

大迫傑が再度の日本新 2時間5分29秒 東京マラソン

大迫傑は32.5キロで先頭グループの井上大仁を抜くと、右脇腹を押さえながらも表情を変えず、ストライドを伸ばして力走。

日本勢トップの2時間5分29秒で設楽悠太等の挑戦を退けた。

大迫選手、日本新記録おめでとう!

大迫の代表候補3番手は変わらず、決定はびわ湖毎日マラソン待ちとなった。

〈東京マラソン五輪代表選考レース 男子〉

1、B・レゲセ(エチオピア) 2:04:15 連覇
4、大迫傑(Nike) 2:05:29 日本新
8、高久龍(ヤクルト) 2:06:45
9、上門大祐(大塚製薬) 2:06:54
10、定方俊樹(MHPS) 2:07:05
16、設楽悠太(Honda) 2:07:45
26、井上大仁(MHPS) 2:09:34

(速報)

理不尽な不正

『読まれなかった小説』 人には個性ってものがある

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息子や奥さんを通して見える 教師で井戸掘りのダメ親父ぶりをとくとご覧あれといいたいが 「人には個性ってものがある それを認めて生きていくしかないのだ」の独白に圧倒される

これ程結末の知れ渡った映画はない程報道されたにもかかわらず映画館に行ったのは“トルコ映画『雪の轍』の感動をもう一度”だった

トルコは親日だといわれているが それはこっちの勝手な思い上がりで 世界を席巻したオスマントルコからアメリカを敵に回してクルド人を虐待し ヨーロッパに圧力を掛けるエルドアン独裁政権は只者ではないし 相手をおもんばかり あるいはむっつりと喋らない日本と違って 思ったことを口にせずにはおれないトルコ気質みたいなものが3時間存分に展開されて大変興味深い作品である

印象に残ったのは 息子に好意を持ちながら 母親にこき使われ 古い田舎の重労働から抜け出せない 鬱屈した美しい村娘の行末だ

『ジョジョ・ラビット』 靴ひもを結んでやる温かみ

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ヨーロッパ征服を目指すナチスドイツにとって ユダヤ人排斥・大ドイツ主義は国是であり 国家に洗脳された少年の憧れがヒトラー・ユーゲントなのもまた当然な時代に 10歳のジョジョが懸命にグループに馴染もうとする姿を 抵抗運動に身を潜める母親だって否定できないのは あの戦争で軍国少年を見る隣組の呪縛に縛られた日本の母親と同じ悲劇だ

その母親役のスカーレット・ヨハンソンの眼差しが哀れにも温かく印象的だ 銀幕露出度が多い中で ヨハンソンのエポックメーキングと言えよう 彼女が息子の靴紐を結んでやる動作が この映画のキーポイントである 

(中略)

少年の家に匿われていたアンネの日記的少女との関係がルネ・クレマンの「禁じられた遊び」に引けを取らない エンディングの名場面に昇華される

カジノ汚職

密告し合う世の中にしてはならない

桜を見る会

桜を見る会

地元の重圧に勝ち バーシム 逆転優勝 世界陸上 男子走り高跳び

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地元カタールの期待と
連覇の重圧にガチガチになるだろう
男子走り高跳びの
M・E・バーシム選手(28)

ヒョロッと高い故障上がりのは
2M37を1回目でクリアし
M・アキメンコ(ロ 中立)に逆転優勝した。

(世界記録2M45 日本記録2M35)

女子400Mの
S・E・ナセル(21 バーレーン)の
48"14自己新Vも凄かったけど
ホームの重圧に負けるどころか
それを突き破るエネルギーに敬服する。
地力がなければなし得ないずごい選手達だ。

戸邉直人 2M29を跳べず予選敗退

ドーハ世界陸上の男子走り高跳び

2m35の日本記録を持つ
戸邉直人選手は
2M29を跳べず予選敗退してしまった

醍醐直幸選手が2006年
2m33cmをマークして以来
ずっと破れなかった日本記録を
今年2月にドイツの
IAAFインドアミーティングで
2m35の日本新を記録して
優勝しただけに期待も大きかったが
経験不足は否めない

1M94の長身に恵まれた
跳躍の探求者でもある彼のことだから
ずっと応援して行きたい

余談だが
走り高跳びが好きになったのは
中学時代のクラス対抗陸上に
先生が
選手として出してくれたからだ
当時は 正面跳びだった

おなじみアリソン・クラウスとフレイザープライスが帰って来た

ドーハ世界陸上に
おなじみの女性選手が
出産後を経て帰って来た。
アリソン・クラウスと
フレイザープライスだ。
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アリソン・フェリックス(米 33)は
混合4×400リレー決勝に出て
しっかり位置をキープし
米チームの3'09"34 世界新記録
での優勝に貢献した。
アリソンの金メダルは
ボルトの金11個を抜き12個だという。
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何時も笑顔の
フレイザープライス(ジャマイカ 32)も
女子100M決勝でぶちぎりの
10"71で優勝を果たした

2位はアッシャースミ(英10"83)だった

サニブラウン選手「聞こえなかった」

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世界陸上男子100M準決勝の
サニブラウン選手は
スターティングブロック で
寝ていたのか
皆がスタートラインを出て行った後で
目が覚めた感じで
10秒15(5位)の平凡な記録。
走りそのものは速かったが
決勝には進めなかった。
スタートの修正をして来た
はずだったサニブラウン選手は
「聞こえなかった」とポツリ。

決勝は
モリモリ・エネルギッシュな
C・コールマン(米)が
9秒76(PB)のブチ切りの優勝。

2位はオッサンズの
J・ガトリン(米)が9秒89、
これも凄いね。

A・ドグラス(カナダ)が
9秒90の3位。

世界陸上が始まった

サウジ油田大火災のすぐ近くの

ドーハで世界陸上が始まった。

男子100M予選はサニブラウン

(3位 10:09)が一発で、

桐生と小池はタイムで予選通過した。

コールマン(米)のモリモリとした

エネルギッシュな走りが目立った。


サニブラウンはおしゃれだね。

小さなピアスともみあげのカットがなかなかのものだ。

折角出るのだから、

もさっとしているよりなんぼいいか知れない。



大好きな女子走り高跳び予選に

ブラシッチの姿がなく寂しい。

ロシアのマリア・ラシツケネが3連覇を狙うそうだ。

中村匠吾 前田穂南が優勝 MGC

MGC(明治神宮外苑発着)
男子は37.4キロの登り坂で、スタートから飛び出していたHonda の設楽悠太に、9人の2位集団が襲いかかり、その中から抜け出した富士通の中村匠吾が優勝。優勝経験のない大迫は、国内の大会で優勝の味を味わたいところ。

女子は天満屋の前田穂南が独走で優勝し。
中村匠吾、服部勇馬、前田穂南、鈴木亜由子
の4人の五輪内定が決まった。

〈男子〉
1、中村匠吾(富士通)2:11:28五輪内定
2、服部勇馬(トヨタ自動車)2:11:36五輪内定
3、大迫傑(ナイキ)2:11:41

〈女子〉
1、前田穂南(天満屋)2:25:15五輪内定
2、鈴木亜由子(日本郵政G)2:29:02五輪内定
3、小原怜(天満屋)2:29:06

(速報)

8:00 晴れ 24.3℃ 73%

藤原孝輝 が8M12の高校新記録 インターハイ走り幅跳び

森長正樹の日本記録を橋岡優輝と城山正太郎が27年ぶりに更新したわずか2週間前、沖縄で行わた南部九州高校総体の男子走り幅跳びで、

藤原孝輝(京都 洛南2年)が8M12(風速+1.7m)の高校新記録を樹立した。従来の記録は同じく森長正樹の7m96。

ハードルにもエントリーしている助走の早い長身選手だ。

いくら条件がいいといっても実力がなければ出せない記録に違いないし、考えられない記録の波が一斉に押し寄せた夏になった。

熱中症という名の夏バテ

健康ランドのサウナ様(・・炉)の設備で1時間、徹底的に汗を流してさっぱりした夜に大量の汗をかいたてダウンした脱水症状からひと月ばかり。からだ各部の痛みからボーッとした感じの頭痛や軽い吐き気を伴う脱力感は未だに治らない。

あの時は手元にあったコークを一本と、這って行った冷蔵庫の桃にかぶりついてひと息ついたことを覚えている。
以前なら「夏バテだ 。」といって諦めていた「熱中症」の怖さを知った夏だった。

城山正太郎が驚異の日本新!アスリート・ナイト・ゲームズ・イン福井 男子走り幅跳びで8.40M

ついにその日が来た。

 

817日、福井県営陸上競技場

で行われた「アスリート・ナイト・ゲームズ・イン福井」の男子走り幅跳びで大幅更新の日本新記録が2つ飛び出した。

まず橋岡優輝(日大)8.32M の新記録を出すとそれを城山正太郎(ゼンリン)が8.40MBに伸ばし森長正樹の8M2527年ぶりに更新した。

 

絶好の追い風も味方したらしい。

 

森長正樹の記録は、やり投げの溝口和洋は別格として、400Mの高野進と共に古色蒼然たる趣の、当分破られない記録として輝いていたものだが「その日が来た」と感動を持って受け入れなければならない日が来たのだ。

 

城山正太郎選手 日本新記録おめでとう!

そして橋岡優輝選手もおめでとう!

妄想読み 若林正恭の「ナナメの夕暮れ」

いつの頃からか分からないが、本を読んでいる途中で、内容に関することからあらぬ妄想に走って、読んではいるがまるで頭の中に入ってこないことがある。


読書量が減ってきたのも、年齢的なものもあるかもしれないが、2週間先には返さないといけない図書館の本がほとんどなくなったことも原因かもしれないが、案外こんなことも関係しているのだろう。



書評番組のMCをやってた本好きの若林も


「小説を読んでいる時も似たようなことがあって、頭の中で違うことを考えているんだけど文字は目で追っているからページ数がかなり進んでしまっていて、戻ってまた読み直すことがしょっちゅうある」

と書いているから、膝を叩いた。

妄想読みはオレだけじゃないんだと意を強めた。


ROMA ローマ

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床をこするような音と共に泡立つ水が石畳の上を流れゴボゴボと吸い込まれるタイトルバック。

底通しているのは水、そして羊水、波。

公衆トイレかと思われたのはエントランス兼車庫で、ウンチを撒き散らす飼犬の持ち場でもあり、そこへ肩怒らせた高級車が無理矢理入庫してくる。

怒鳴られながらも虐待を受けるわけでもなく、メキシコ上流家庭の子供達に親しまれるメイドの日常がうねる様に流れ、モノクロの抑制した画面が、観る者を息の詰まる様なクライマックスに押し流して行く。

80点

”野党が反発”いうのはメディアの誘導

殺せといわれて殺したのに

アベノミクスの夢

デトロイト

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黒人を殺した警官が無罪になって暴動が起きる事件が再三発生していたアメリカのヘイトクライムを描く『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督がアカデミー賞 作品賞・監督賞を受賞した作品。

まるでうっぷん返しのように差別されるものにとってはたまったものではない。
市警と州警は何故こうも違うのか、人種差別の当事者である市警は白人優位だけで暴力を振るい人権から目を逸らそうとする。

日本でも嫌韓ジャーナリストが準強姦容疑で逮捕状が出ていながら官邸の横やりで逮捕を免れた事件が未だに尾を引いているが、権力と検察が組んだらどうなるが痛いほど思い知らされる事件でもある。

デトロイト市警が何をしたか。人権と冷静さをわきまえているだろう州警でも彼らの暴走を止める勇気がないのが現実で、市警の横暴を見て見ないフリをして面倒を避けたがる。権力が暴力を使う不条理を丁寧に描いた力作だ。

75点

判決、ふたつの希望

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非難し合った結果が戦争になってもいいのか。

「シャロンに叩きのめされていたらよかったんだ!」レバノンの男性がパレスチナ難民労働者を罵倒するところから始まる、レバノン出身のジアド・ドゥエイリが民族宗教対立の裏にある歴史や差別に踏み込みながら密度の高い人間ドラマを創った。

これは日本が取り組む移民政策(‪入管法改正‬)にも密接に関係するタイムリーな映画だ。

近年世の中は偏見による罵倒と憎悪にあふれており、移民難民問題が絡むと理性が吹っ飛んでしまうのが現状だ。

レバノンは地中海の東に面し、隣国イスラエルとシリアに再三侵攻されており、イスラム・キリストの宗教対立が激しい国であり、流入したパレスチナ難民が国を支えている面もある複雑な事情を抱えている。

ここで言うシャロンはイスラエル史上、最もパレスチナに強硬姿勢を貫いたシオニストの首相であったことを頭において見れば理解しやすい。

80点

ゴーギャン タヒチ、楽園への旅

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パリでは一生売れない画家「怠惰にはなりたくない、偉大な芸術家なのだから耐え抜く」糖尿病を患いながらひとり分け入ったポリネシアの森の中。考える前に描いている。描くこと彫ることが好きなのがひしひしと伝わってくる。

のっそりと寡黙なアンソニー・クイン型ではなく、気力みなぎり行動力溢れるゴーギャンを、エドゥアルド・デルック監督は純文学風に描いた。

テレビやパソコンにスマホ、旨い物の誘惑が多い現代ではゴーギャンは出ないだろう。

75点

バハールの涙

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「戦地の情報は1回クリックしてそれきりよ。殆ど無関心なのだから」紛争地を取材する女性は呟く。

シリア戦ではアメリカの尖兵となって活躍したクルドは、トルコから虐待を受ける国のない民族。ISから、男は虐殺され女性は性的暴行に晒され、子供は拉致されて戦闘員にされるのは、相手に大きなダメージを与える内戦の常識。

イランの女優ゴルシフテ・ファラハニが、悲しみを秘めた勇敢なクルド人女性武装部隊のリーダーとしてなかなかの味を出している。

80点

天才作家の妻 40年目の真実

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ノーベル文学賞は作品の文学性か弾みか。

夫のノーベル賞授賞式についていった女房の若い時は何者だったのか。そして、タクシーの中で何が起こったのか、終盤の胸をえぐられるシーンになだれ込む感動作だ。

人には表と裏があり作家が例外であるはずはなく、観る者によって解釈も違うのだろうと、余韻の長びく映画となった。

ストーリーに関係ないことだが、一旦売れた作家に転用やコピーが指摘されることがある。忙しさにかまけた悪意でなかったら参考文献の明記をすべきだがどんな理由で端折ったのかと何時も思うのだが、そんな事まで考えてしまった。

もう一つ蛇足だが、夭折の画家・佐伯祐三の油絵にあるテーブルや椅子の流れる様な線は、日本画を習得した者でなければ描けない謎だと聞いたことがある。

いずれにしても作品が作家の手を離れたら、独り歩きを始めるのは仕方のないことだ。

 80点

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

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極貧だが上を望まず不平も吐かない自然な生き様に、胸が震える思いだ。

電気も引いてないカナダの片田舎。モード・ルイスは不自由な体だが兄に住む家を売られ、叔母に預けられているが死産した経験を持つ。魚の行商を営むエベレット・ルイスの求人掲示板に応じ、家を飛び出したルイスは彼の家政婦として働くことになったが、孤児のルイスは人の使い方が分からずおろおろするばかり。

「ベッドは1つしかないから雑魚寝をしろ」と共同生活が始まる。しかし彼女は人の噂なんか全然気にしないむしろ面白がる性格で、暇を見ては壁や板切れに絵の具を塗りつけて花や人の絵を描いて行く。

絵の好きな人はプラス1星付けるだろう。

80点

ブラックブック

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ネットを覗くと、イスラエル・パレスチナ問題では圧倒的にパレスチナに同情的な人が多い。無理もない。自分たちの土地に勝手に入植して支配地を広げ、壁を作り、パレスチナ人を排斥している報道を知るにつけ「それはないよ」と思わせる面のあることを。

しかし、紀元前にパレスチナ・ペリシテ民族が滅亡し、その後のイスラエル王国も滅亡、彼の地は列強の侵攻で支配者の変遷の激しい地域であったことは認識しておかなければならないだろう。

そして、先の大戦に乗じてナチスドイツによるホロコーストで600万人以上のユダヤ人虐殺があった。同じ人間とは言えない悲惨な仕打ちを受けたユダヤ人が安住の地を求めたことは否定できない。

戦争という人間の殺し合いを知ったのが、ノモンハン戦争でありホロコーストであったため、幾多の書物や映画を見てきたが、必ずしもイスラエルが悪とは言えず、むしろかわいそうな民族という認識は変わらない。

この映画はユダヤ狩りの進むオランダでの、裏切りと罠の中で、命を燃やす抵抗運動を描いた力作だ。

75点

”起訴まで行って委員会” JOC竹田恆和会長贈賄疑惑 予審手続き

JOCの竹田恆和会長のオリンピック招致にからむ贈賄容疑で、フランス裁判所が予審手続きに入った。

当初からこの噂はあり、竹田氏はフランス検察に再三呼ばれて説明してきたようだが、関係者の口座に2億3千万円振り込んだことは認めている。

竹田個人がこんな巨額な金を持っているはずはなく、金の出所や目的がさらに厳しく追及されることになる。

一部では、東京を返上しロンドン五輪の可能性さえささやかれているが、起訴されることになれば東京五輪どころではなくなる。