痛快!「生きているのはひまつぶし」深沢七郎著

痛快な本だ。誰によいしょすることなく、歯に衣を着せない語り口がいい。

「死ぬことは生まれる前の世界に帰ること。
そこには苦しいこともナーンにもない。

生きてゆくのは結構めんどうくさいから生まれてこないほうがよかったね。
おれは生まれたことに特別に感謝はしない」という死生観は、

「生まれてきてよかった」という現代の右へならい風潮と対立するようだが、
こんなことをあっけらかんと言える生き方がすばらしい。

死ぬことは解放であり、死ぬことがあるから人生は楽しい。
という思いがあるからだ。

「予想外の結末」はハンガリーへ招待されたのに、
パスポートを発給してくれない話だが、もやもやした怒りが満ちていて面白い。

中でも「三島由紀夫は少年文学」では、
圧倒的な信者がいる文豪を、そこまで言わなくたっていいだろう、
と思うほどコテンパンにやっつけているのが痛快だ。

金閣寺は読んだような読まなかったような、
バルコニーでの決起を呼びかけるテレビ画像くらいしか知らない三島音痴だし、
文壇でどんな口論があったのか、
冊子で批判的な発言をされたのか知らないけれど、

「限界を感じて絶望して政治に走った」とか
「頭がいいということは自分を誤っちゃうね。アルバイトをやらない人はダメ」

とか、車谷長吉氏より、その恨みつらみはストレートであり留まることがない。
嫌いなものは嫌いだ、とはっきり言えるのも解放だ。

「生きているのはひまつぶし」深沢七郎著 光文社
帰りの東海道新幹線の中で読むのに最適だった。







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