しょっぱいドライブ

いつの間にか忘れていたさわやかな風が、
体の中を吹き抜けたような気分になる小説です。



『窓をあけてみる。潮風に押されてしまう。
押し返すようにそっと舌を出し、潮風をなめたら、しょっぱかった』



『九十九さんが入院でもしたら、わたしが座薬をいれてあげるよ、
寝たきりになったら、ホットタオルで毎日からだを拭いてあげるよ、

それくらいするよ、といいひとになったみたいに、
胸のなかで言っていた。

口に出すと、約束したみたいに思われて困るので、
あくまでも胸のなかにおさめることにした 』





30代のミホは隣町の牛丼屋でアルバイトをしながら、
人のいい60代の九十九さんと一緒になっていいと思っている。

九十九さんは土地持ちです。
なで肩で天然パーマです。

45分もかけてバスで来て、
おっさんとドライブをして肌を合わせても、

地方劇団のスター“アソブ”さんとのことばかり
思い返しているずるい女。

それでいて成り行きにまかせる楽観主義者であり、
ものごとを笑ってすませる丸みのある女です。

人の渦からはみ出たところで進行する、
若くもない女性と初老のおっさんの恋愛が、

フンワカと大人っぽくて、
風が吹き抜けたようなさわやかな気分になりました。



しょっぱいドライブ」の大道珠貴さんは

今時めずらしく、原稿を鉛筆で書く作家です。
人の本質をさらっと描く悪い作家です。
たのしみな芥川賞作家です。






・・・ありがとう ♪




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この記事へのコメント

2006年04月13日 11:41
読んでから時間がたって忘れかけてたけど
ブログを読んで、読んでるとき感じたサワヤカさを
思い出しました。
mokku
2006年04月13日 19:46
ほんのおぼえがき さんありがとう♪
ミホさんはアソブさんに遊ばれただけでしょうし、九十九さんの奥さんは、漁師の色男と一緒でオッサンを無視。潮風に向ってドライブする二人に、さわやかな風を感じるのは読者として当然の心情でしょうね。

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