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内田百閒著『続百鬼園随筆』

本を読んでいて、ふと過ぎ去った情景や 当時の人のことを思い浮かべてページが進まずに困ることがある。 とくに中学生時代の事はしばしば脳裏に浮かぶ。 親友というほどの付き合い方をしたわけではないが、 幾人かの友人が人生の一時期に、浅からずかかわっていたことを思い出す。 吉川英治の宮本武蔵を全巻読破したというやつ…
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ご先祖様は胴田貫

父方の実家は肥後国菊池で農業をしていましたが、 もっと以前は肥後の刀鍛冶だったらしい。 侍が刀を帯びて歩く姿を空想したりしていましたが、 その先がサッパリ分からずじまいで、少々不満の残る人生でもありました。 そんなことをうるさく聞く子はいなかったでしょうし、私も調べたりはしなかった。 本当は親も知らない、どうでもいいことだ…
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創作の刺激をもらった吉村昭著『私の文学漂流』

相変わらずタブローを描くわけでもなく、 まして公募展に応募する気もなく細々と絵を描いているわけですが、 長年描いていると他に取り柄がない男としては、 生きている証のようになっているわけで、 それはそれで有難いことですが、 ともするとなまけ心が働いて無為な日々を送ってしまうものです。 そして苛立ち、投げやりな気分になってどんど…
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まあ、いいか・・『なんとなくな日々』川上弘美

雨の日曜日はじっとしていたいのだが、あいにく用事があって、傘をさしてゆっくり駅まで歩く。駅の近くに昼からやっているやきとり屋があるが、おいでおいでと背中を押す強烈な匂いはしない。用をすませ、夕飯の買い物をして新刊を二冊買い 『帰り道、またやきとり屋の前を通ったら、今度は行きのときよりも、炭火で串を焼くいい匂いが強く漂ってくる。ここ…
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「だましだまし人生を生きよう」 池田清彦

キャッチコピーにあったような「過激」な人という印象はないが、 小さい時から好きだった虫を一貫して追いかけ、 同僚の女性を妻にして生物学への夢を奪いながら、 家庭を顧みず、片手間の副業で食つなぎ、 教授になってなおかつ虫を追いまくる生き様は、 ある意味過激かもしれない。 「だましだまし人生を生きよう」池田清彦 新潮文庫 …
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脅迫症の作家「空中ブランコ」

一度書いたことがあるのじゃないかと気にしだしたら切りがなくなり、 とうとう書けなくなってしまい、 脅迫性の嘔吐症に悩まされる女流作家が訪れた神経科は、 「いらっしゃーい」と素っ頓狂な声で歓迎し、 すぐに注射を打ちたがる脳天気な伊良部先生。 奥田英朗著・直木賞作品「空中ブランコ」の“女流作家”では、 希望に打ち震えるラスト…
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温めて治す『自分ですぐできる免疫革命』

もしもガンになったら激しい痛みに苦しむだろうから、 延命治療はいらないにしても、せめてモルヒネ等で 痛みだけはとってほしい、と思っていました。 ところがガンは本来、痛くないものらしい。 そんな先入観を払拭させてくれたのが 安保徹さんの『自分ですぐできる免疫革命』という本です。 末期ガンで激しい痛みをともなうのは、…
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くそたわけ

かみさんを見舞って、 山陽線ホームのベンチで文庫本を読んでいたら 列車が入って来たので乗り込んだ。 続きを読んでいたらなにやら雰囲気がおかしいい。 無いはずの川が車窓に広がってる。 エッ、伯備線に入っているではないか。オレは山陰へ行くんかいな。 『逃亡くそたわけ』(絲山秋子)を読んでいた。 「団子汁」を食って「いき…
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秘剣 寺本将司・剣道日本一。

延長戦にもつれ込んだ決勝。 死力を尽くしたメンの打ち合いの直後、審判の旗がいっせいに揚がった。 3本とも赤。寺本がわずかに早かった。(向井太) 寺本将司六段(大阪府警)が死闘をを制し 剣道・全日本選手権で初優勝した。 目を凝らしていてもよく分からんのがこのスポーツ。 はっきりいって見えないくらい早い。 TVじゃなく…
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『週末作家入門』廣川州伸

題名にあるように「週末に書いて作家」になる方を説いたノウハウ本です。 かといって日曜しか描けない日曜画家とは違って、(本当?) 仕事をしながら作家を目指す心構え、 つまり「二足のわらじ」の進めです。 仕事を続けながら三度の付き合いを一度に減らし 夕飯後の時間を作家気分で書いてみるのもいいものではないか。 まあ、日曜画家と…
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風邪か花粉か田口ランディ

暖冬去って春になったらおかしくなった。 鼻水鼻つまりがひどく夜もうかうか寝ておれない。 宣告されるまで花粉症とは認めない。 変な風邪を引いたもんだと、市販の風邪薬を飲んでいたが 一向に改善されない。 昨日はエアロとサウナで憂さ晴らし。 かえって頭痛や咳がのしかかり、 インフルエンザ流行に心が揺れる。 水、お茶…
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身勝手な業 『小説家』

学校と縁を切り親から逃れ、17歳で炭鉱に潜り込み、労組の機関紙つ゛くりで文筆に目覚め、廃坑の後は行き場がないまま肺結核で療養生活をよぎなくされた彼は、文学で身を立てるため、妻子を捨てて女と駆落ちする。 すべて、行き当たりばったりの流儀に身を委ねた結果だった。 座椅子にひっくり返って読んでいたが、後半は鳥肌が立つような緊張感で、そ…
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池袋ウエストゲートパーク

石田衣良氏の事を、 高級マンションの明るすぎる書斎で、CDを流しながら小説を叩く、 イケスカナイ若造(失礼、46歳の流行作家であります) と長く敬遠していたのですが、 最近、氏のエッセイを読む機会があって、 意外に自由で深い文章にジャブを食らっていまい、 ならばと『池袋ウエストゲートパーク』をひもといてみました。 …
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虚人 寺山修司

寺山修司のテレビドラマを観た記憶はなく、まして天井桟敷など 覗いたこともないが、永いこと気になっていた作家だ。 物を創りだす仕事をする人、それも世間の常識から外れた 特異な生き方や考え方をする人に会うために評伝を求めるのは、 玄界灘を漂流したこと以外、わりと平穏でのっぺりとした人生しか 歩いて来なかったという反省と、可…
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「まほろ駅前多田便利軒」に転がり込んだ行天

タダで請け負うのではないのに『多田便利軒』。 などとひやかしながら、 真面目な便利屋・多田啓介のところへ、 ずうずうしく転がり込んで来た「ギョーテン」こと行天晴彦は 裸足に健康サンダルという風体と喋らないのがトレ-ドマーク。 仕事を辞めてアパートを引き払い、 貯めた金は全部奥さんだった人にやってしまっ…
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ABC殺人事件

日ごろは雑読なので、 古今の名作と呼ばれるものには少々引け目を感じている。 かといってドストエフスキーやらの 世界文学全集に手を出す元気はないので、 自分に都合のよいミステリーの中から、 TVドラマ化されたのも知らず物色したのが 『ABC殺人事件』アガサ・クリスチィ 堀田善衛訳。 クリスチィ(堀田さん訳)は1976…
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Q&A

群集に挟まれながらあらぬ方向に押されていく体験や、 明石歩道橋事件のような「足が浮き上がる恐怖」も経験している。 雑踏警備がやっと真剣に検討されるようになる以前から、 誰もが体験していることかもしれない。 普段の大型ショッピングセンターで、 きっかけがあるのか無いのか、 一旦集団パニックが発生してしまうと、 押…
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ニート

「口座番号、教えてよ」 口に出してはじめて、とても恥ずかしい台詞を吐いていると思った。 ずっと言おうと思っていたことなんて、みんな恥ずかしいことばかりだ。 ニートしているキミに会いたくて、 あぶない事までして金を貸してやりたくなる女心に、 着物姿の八百屋お七を見た。 寺小姓に恋慕のあまり放火未遂事件をおこし …
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梅雨入りに金龍ラーメン

瀬戸内も梅雨入りした。 5年日記をめくると昨年は11日。 南九州は5月26日頃だったからそれから随分日が経つ。 最低気温16度といっても薄ら寒い。 車谷長吉の小説「赤目四十八瀧心中未遂」の中で、 怪しげなやり取りがあった電話ボックスはこのあたりだったのか、 とキョロキョロしながら尼崎駅から電車に乗ったのは、 南九州が入…
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星々の舟

同じ家の中で、同じ空気を吸い、 気配を感じ、触れてみたくなったのは他でもない。 この世に二人といない女性として愛してしまったからだが、 いまさら実の妹だといわれても、どうすりゃいいんだ。 隠された親のどろどろを知った今、やり場のない怒りに、 目の前の物を突き飛ばして出て行った暁の苦悩がこの小説の焦点。 歳月が流れ…
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似顔絵

人が語る印象だけで似顔絵を描くのは並大抵な事ではない。 人相書きと言うのは昔からあり、 刑事さんが目撃者から聞き取りながら描く顔は、 写真の代わりと言えば書いた作者に失礼だが、 芸術作品とは言わないまでも、人様に買っていただける絵ではなく、 形の見えない顔を絵にするには不可能に近い。 エミリー・ブロン…
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がんばりません

競泳の選手でもないのに、 バタフライをやる奴の気が知れない。 ろくに腕も上がらないくせに バシャバシャと水しぶきばかり上げる割に ぜんぜん進まない泳ぎをする必要がどこにあるんだ。 「ご苦労さん」としか言いようがない。 それを見て「元気だな、よくやるね」なんて 愛想をいう自分も理解できない。 …
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しょっぱいドライブ

いつの間にか忘れていたさわやかな風が、 体の中を吹き抜けたような気分になる小説です。 『窓をあけてみる。潮風に押されてしまう。 押し返すようにそっと舌を出し、潮風をなめたら、しょっぱかった』 『九十九さんが入院でもしたら、わたしが座薬をいれてあげるよ、 寝たきりになったら、ホットタオルで毎日からだを拭い…
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インパール疑似体験

なぜ戦記ものを読むかと聞かれたら、 面白いからと答えるしかありません。 「インパール兵隊戦記」(歩けない兵は死すべし)を読んでいます。 インパール作戦では短期間に6万余の日本兵が亡くなったと聞きます。 怖いもの見たさ、ホラー映画を見たい心境のような 興味本位だけではありません。 親が兵隊であったわけでもなく、 …
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うつろうかたち

 わけが分からん抽象画を描く野見山暁治さんは、画家にしておくのがもったいないような、平易で魅惑的な文章を書かれる。大好きな田中小実昌さんは義弟にあたるらしいからなんとなく親近感もある。  折々に書いたこのエッセイ集には、糖尿をわずらったコミさんは、アメリカで行き倒れになったものとばかり思い込んでいたが、実はそうではないと言う新証言…
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古本・貸本・気になる本

山本夏彦の著書を読んだ人が、 この人はいつも同じことばかり言っている、と評したら山本氏の友人が 「寄せては返す波の音と思え」と笑ったそうだ。 山本氏の文章を「コラム」と言うのは間違いで、 内容に気を奪われるのではなく、文章を楽しむのが本道なのだ。 従って、同じことが繰り返されて、当たり前なのである。 古今亭志ん生と考えればよ…
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名をこそ惜しめ

戦後60年の節目に、さまざまな映像や出版物がひしめいているが、辺見じゅんの「男たちの大和」の映画化が話題になっている中、映画よりまず活字が読みたくて、津本陽の新著”硫黄島戦”をじっくり読ませてもらった。   マリアナ諸島のサイパンが陥落し、本土攻撃の重要な中継基地としての硫黄島は、ちっぽけな岩だらけの島。ベトナムのジャングルとは大違…
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「もう切るわ」

『ずっと来なかった理由を訊かれないうちに、あたしは水の中へ滑り込む。 体を水に浸すことがこんなに気持ちいいと、久ぶりに思い出した。 準備運動をしないかわりに、スローモーションのように手足を動かして、 ゆっくりゆっくり泳いでいると、重い体が、どんどん軽くなっていく。 こんなふうに簡単に心の中も軽くなればいいのに、 そう思うあ…
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 「餌」 ケネス・アベル 村上博基訳

ヘックラー&コックMP5。と言えばたぶん画像の様な小型のマシンガン。 折りたたみ式パイプ銃床。装弾数9ミリ・パラグラム30発、初速毎秒千フィート、連射速度毎秒600発。オプションで光学サイトと暗視スコープ。彼も主人公の一人。 ハードボイルドの主人公は寡黙でさめた男が しゃれた服装で粋な駄洒落を吐くらしいが、 ここに登場する主…
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「薩摩燃ゆ」安部龍太郎

困窮の薩摩藩を立て直すため53歳の笑左衛門に下った命は 「十年で五十万両を蓄えよ。 それ以外に幕府や朝廷への上納金、 非常の場合の予備費をそなえておけ。 五百万両の借用証文を取りかえせ」 という前代未聞の無理難題だった。 同年の者はすでに隠居暮らしを強いられているのに、 藩主三代打ちそろって借財に苦しむ薩摩を救って…
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