テーマ:レビュー

『ベイビーブラザー』

年の離れた3兄弟が亡くなった母親をそれぞれに思いながら、父親を探さざるを得ない旅が、骨まで凍り付くように寒い。 アメリカ社会は、差別が激しいと聞くが、黒人も白人も共に生活し、付き合いそして恋愛もしている。これが実情なのだ。 排他主義が目立つ今の世界で、こんなにも普通に生きている人達をもっと知るべきだと思う。 ボクはとい…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

サラの鍵

ドイツ軍がパリに無血入城して2年。 1942年頃のフランス官憲を利用した過酷なユダヤ狩りの恐怖を、強い意志を持ったカメラが、怯える群衆の俯瞰図を通して虐待の悲惨を浮き彫りにして行く。 一家が自宅から連行される時に弟を置き去りにした自責の念にかられる少女サラが、収容所から逃げるシーンのなんと美しいことか。 ホロコーストを背負った少…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

何となく満たされない心のすきまに忍び込んだ投げやりな気持ちから取り返しのつかない事態を招いてしまった雇われ便利屋の男。ふさぎ込み虚ろな日常は、ビールのラッパ飲みでは発散できず、少しづつやり場のないエネルギーを蓄積して行き突然となりのカウンターで飲む男を殴りつけたりする。 そこに降って湧いた勝手気ままな甥の後見人の役。 爆発する相…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ハクソー・リッジ』

あの時代、日本兵は毎日訳もなく上官に殴り蹴られていたが、アメリカでは怒鳴りあうだけだから、消耗の差や上司に対する信頼も格段の差があったと考える。 戦争は前線のむごたらしさと国民の悲惨がごっちゃに進行するものであるが、反戦主義者のメル・ギブソンは、兵隊達が戦場で、引きちぎられ切断される様を「プライべート・ライアン」よりリアルな映像を…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『野火』

補給無き戦争。太平洋戦争はもとより中国大陸でも日本軍の作戦は現地調達が原則だったから銃や大砲で殺られるより餓死していく兵が圧倒的に多かった。敗戦濃厚となって敗走する兵士の悲惨は大岡昇平の「野火」よりむしろ古山高麗雄『フーコン戦記』の一場面一場面を目の当たりにする思いだ。 道無き道に転がる日本兵。「いい天気ですね」といっ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『サイの季節』権力の圧倒的腕力になすすべもない個人の運命

体制側を批判した、と取られた詩を書いた男が、妻とともに捕らわれた。30年という年月はあまりにも長過ぎる。ボクなら悲観して獄死しそうな期間だ。そして女性に執拗に迫る官憲は男を抹消しようと動く。 モノトーンのシーンに、人への思いと運命、誤解が絡み合い、象徴的なカット割りを刻んで行く。今現在も世界で続く内戦の悲劇でも同じ図式…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「雪の轍』

物も言いたくないほど冷え込んだ夫婦なら、互いに無口になってしまうものだろうが、老境に入る男と女の何という饒舌。 互いに自分の論理を主張して一歩も引かない。 「自己満足の駄文書き」と罵られた洞窟ホテルの主人と、暇を持て余し「やることもないのか、趣味の一つも持てよ」とばかにされる妻が丁々発止の大激論。書きたくても書けない…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『チャイルド44 森に消えた子供たち』

ゾッと寒くなるほど怖い映画です 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009年)のノオミ・ラパス(スエーデン生 35歳)が スターリン下の秘密警察官の妻として 明日のない絶望の罠に陥った役を好演するサスペンスミステリー スターリンの恐怖政治がまっただ中の大戦直後ソ連で 子供の連続猟奇殺人事件が発生する…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『天井桟敷の人々』

19世紀パリ ゴチャゴチャした道頓堀?大通りの軽業とマイムの庶民劇場 人気のバローがフーテン役者アルレッティに恋をする 綺麗な彼女に言いよる男はあまた居たわけだ 「好きじゃなくて、愛してよ」パリの女は いや男だってどいつもこいつも確認したがるのだ そんなこと現代では言わないだろう もしかして 字幕の便利上そうなったのか…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ホタル』

「誰にもどうにもならんことがあるのよ」知子。 「どうか 特攻隊のことを語り継いでください」知覧の母・山本富子。 国家という残酷。「お国のため」は自民党の改憲草案にも顔をのぞかせています。 基本的人権・表現結社の自由を放棄したら 「いつか来た道」 戦争は「中韓をやっつけてスカッと」する様な勝負事ではありません。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『バグダッド・カフェ』

不機嫌な人達がのっけからケンカしまくり それに続く 妙な空気がやたらと可笑しい しかも最初っから 画面が傾いているんだよね ラスベガス近くの砂漠でモーテルとガソリンスタンド兼業のカフェ「バクダッド」では 育児と家事に忙殺されているアフリカ系女主人CCH・パウンダーが毎日不機嫌極まりなく 怒鳴り散らしている そこに現れたデ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ミニー&モスコウィッツ』

可笑しくて面白くて泣けてしまう。何やかや言っても本音をセーブしながら周りと折り合いを付け、社会秩序を乱さないように肩肘張って生きている。そんなボクらに精神の解放を促す映画だ。 やたらと怒鳴り散らす自己中心な男が何人も出てくる。そのしつこさ加減が、「あるよなあ」と思わせて可笑しくてたまらない傑作だ。 ジーナ・ローランズの「もううん…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

 『ハーブ&ドロシー 』 彼もアーチストだった

驚嘆すべきは 財力も保管スペースもない素人のサラリーマンが これほど膨大な量のコレクションを続けた事実だ   郵便局で仕分けをしていたハーブと その妻で元司書のドロシーは元々絵が好きでアーティストとして絵も描いていた それらの絵は カンバスから剥がし 折り畳んで段ボールに保存していたことも明かされる 「いい絵だね…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『サウルの息子』 ホロコーストの叫び

ハンデイカメラが男に密着し、 ホロコーストのおぞましい様相を追う。 ガス室に送り込まれる人々の息づかい、 絞り出される声、 閉められた鉄扉を叩く こぶしの音、 飛び交う単語、 怒鳴り合い。 こういう時代だからこそ 人々は何かを求めて 寄って来るのだろう。 …
トラックバック:0
コメント:4

続きを読むread more

『放浪の画家ピロスマニ』

旧ソ連の支配下にあったグルジアの画家ニコ・ピロスマニの半生を描いた伝記映画。 ずいぶん古いフィルムらしく、時に音声が消えるが、それなりに時代の雰囲気は高まる。ここに現れる風俗や風景は、ブリューゲルの農民や妖怪達が居たような不思議な世界だ。 巨岩と草原。石畳と色の変わった固そうな木造家屋。町で評判の画家は、束縛されることを…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『マッチスティック・メン』 潔癖症の天才詐欺師は娘に弱い

別れた妻と同居している チャーミングな女の子は14歳。 自分の子か他人の子か。 気になって覗きに行くたびに可愛くなり 「我が娘に違いない」 との妄想が確信になって行く。 詐欺師ニコラス・ケイジは、 極度の潔癖症で整理オタク。 タレントの坂上忍の上を行く潔癖症で、 他人が自宅に上がり込むこと 自体が…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『一枚のハガキ』 帰ってみたら愛する妻は・・

終戦となり、 戦場から帰ってみたら、 愛する妻は自分の弟と結婚していた、 などという話はよく聞く。 ・・・・・・・・・・・ 終戦末期の昭和19年夏。 呉海兵団100名の掃除部隊が 「予科練」の来る宿舎を 掃除するため 宗教団体の本部に来る。 掃除の役目が終わった後、 スルメと酒1合で 最後の慰労会て騒…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ジョニーは戦場へ行った 」戦争で恋人達を引き裂かないで

出征の駅頭 「行かないで!私がかくまうから逃げて!」 愛を確かめ合ったばかりのジョーに、 恋人カリーンは懇願する。 1917年、 世界大戦に参戦したアメリカ。 兵士となった青年ジョーは、 戦場で顔を吹き飛ばされ、 手足も無い、 生きた屍として 野戦病院に収容された。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ワンス・アンド・フォーエバー』勇ましい殺し合いの後ろでは

戦場の勇ましい殺し合いの裏には、 国許で主人や恋人を待つ 女性の悲嘆がある 第2次世界大戦後(1939年~1945年 ) 朝鮮戦争を経て(1950年~1953年) アメリカがベトナムで 新しい戦争を始めたのは 開発した新兵器を試したい 兵器産業と国との 思惑が一致したからだろうか (1960年~19…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『花のあと』 北川景子の殺陣と所作が美しい

剣豪ものが好きだが 藤沢周平の作品の中では 数少ないな分野 私怨や藩の思惑がからんだ当作品には 女剣士の情念が 社会の不条理に切り込む爽快感がある。 北川景子にとって 映画では12作目にあたる作品。 6年前の殺陣が見所。 障子を3段に引く所作と 桜のカメラ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ライフ・イズ・ビューティフル』ロベルト・ベニーニのユーモアとペーソス

エンドロールは 予期しない結末に胸が張りさけるやうで、ぼやけてよく見えなかった ドタバタコンビか飛び込んだ家の叔父さんとやらが 「この家は物置で ガラクタばかりだが ムダな物こそ意味がある」 税金のムダ使い以外のムダは方便だ。 突然現れる女性を「お姫様」と持ち上げ 結婚式場から連れ去るところは、 ダスティン…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『あなたに降る夢』ニコラス・ケイジ ブリジット・フォンダのラブコメディ

「もしたら」のラブ・コメディ。 人の良い不器用な警察官はニコラス・ケイジのはまり役。 お相手はブリジット・フォンダ 。 パトロールも一段落し、 腹ごしらえにコーヒーショップに飛び込んだ ニコラス・刑事。 取り出した財布が金欠病でチップ代が払えず、 ウエイトレス(ブリジット・フォンダ)に 今度来た時に、チッ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ザ・インタープリター』密度の高い社会派サスペンス

皆に親しまれた国の英雄も、権力の座に就いたら冷酷な独裁者に変貌してしまう。 彼の暗殺を狙うもの。それを阻止しようとうごめく親衛組織の罠。 アフリカのマトバ。 幼い頃 international marriageの両親が部族間抗争で惨殺される、という闇を抱えたニコール・キッドマンは長じて、国連の通訳になるが、親の死に絡ん…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『日本で一番悪い奴ら』

綾野剛の重厚で繊細な「悩める青年」の演技に期待してシネマコンプレックスに出掛けたが、やたらと怒鳴り散らし、動きの激しい綾野剛はやや意外だった。 15年以前に、 警視庁の出した拳銃摘発指令に実績最優先で臨んだ北海道警察の潜入捜査(おとり捜査)の危険と卑劣さをヒントに描いた綾野剛主演の映画。 拳銃の数さえ上げればいい実数優…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『メンフィス・ベル』

高射砲と俊敏な独爆撃機が乱舞する中を、ヤンキーの重爆撃機が、ドイツ軍需工場を空爆するため、突き進む空中戦が見せどころの映画として、何度もテレビ放映されている名画だが、相当カットされているので、出来たら字幕オリジリナル版をお勧めしたい。 1943年5月、連合軍劣勢下のイギリス。 1941年に始まった世界大恐慌真っただ中…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『最強のふたり』排他主義がはびこる今こそ見て欲しい

ヘイトスピーチ、黒人射殺、反イスラムと、ものごと総て世界規模で動いていた副作用かのように、人種差別、排外主義台頭のこの時期にこそ、多くの人に見てもらいたい秀作だ。 柄は悪いが純朴なにわか介護士と、パラグライダー事故で手足が不自由な車椅子の紳士の、ユーモラスな本音の会話が胸を打つ。 二人ともわがままで偏屈なんだけど、偏見などどこ吹…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『AMYエイミー』グラミー賞歌手エイミー・ワインハウスの悲しい人生

小説でなくても「破滅型」は好きな方だが、女性アーチストともなれば、悲哀を感じる。 ポッと出の小娘があっという間にジャズ歌手としてスターダムにのし上がり、人気と収入に自分を見失うのは当然だろうが、大好きな歌にのめり込まず、杖代わりに寄りかかった恋人のドラッグ遊びに溺れ、我を忘れてしまうのは早い。 ライブのステージに、ベ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『セレンディピティ』

クリスマスのチャリティーで、カシミヤの黒い手袋に同時に手を出したジョナサンとサラは、互いにパートナーがいると強がりを言いながら、惹かれ合う感情をどうすることもできないまま、偶然の出会いという運命に再会の可能性に賭ける。 初版本の裏表紙にサラが書いた名前と住所に賭けて別れてしまったのだ。 他の人との結婚を前に『運命のお…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』

元騎兵隊大佐のアンソニー・ホプキンスはモンタナの田舎牧場で、出て行った妻との子供、3兄弟を育てる。やがて成長した子供たちは第一次大戦に志願して家を出て行くが、結婚していた末っ子は戦死、長男は政治家を目指すが、次男のブラピは野生人と化して帰ってくる。 ブラット・ピットの快作、連続殺人鬼を追う刑事役『セブン』の前年の作品。 …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ワイルド・スピード ICE BREAK』

カーアクションだけと思ったら、例のファミリーがゴチャゴチャになって悪に挑む陸海空戦。といっても戦争ではなく娯楽アクションで、さして心躍らせるシロモノではなかったが、ラストに(予告編でネタバレの)意外な?見せ場があるから何とか引っぱれたシロモノ。不景気の気晴らしまでは行かなかった。 巨大な金庫を引っ張り回す『ワイルド・スピー…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more