『セザンヌと過ごした時間』

売れない画家の、早く世に出た幼なじみに対するやっかみの凄まじさ。
しかし物書きなら自分のことを書かねばならない現実において、画家の私生活は絶好のネタ。
それを晒さすしかないジレンマの繰り返し。
セザンヌはよくケンカしたという逸話は読み知っていたが、これほど激しやすい人とは思わなかった。
嫉妬が憎悪になり物を投げるは壊すは。
ゾラとセザンヌが互いを傷つけ合いながら認めてくれないアカデミーやサロンに悪態をつき創作に苦悩する姿が凄まじくも愛おしい。
「絵はやめない、描きながら死ぬ」
見かねたモデルを務める妻から「絵を辞めて!」と言われてセザンヌの人生はどうなったのか、物語としても出色だ。
2016年 仏
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 80点
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