『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
何となく満たされない心のすきまに忍び込んだ投げやりな気持ちから取り返しのつかない事態を招いてしまった雇われ便利屋の男。ふさぎ込み虚ろな日常は、ビールのラッパ飲みでは発散できず、少しづつやり場のないエネルギーを蓄積して行き突然となりのカウンターで飲む男を殴りつけたりする。
そこに降って湧いた勝手気ままな甥の後見人の役。
爆発する相手がガラス戸に拳を叩き込む自傷行為止まりだからまだいい。人をホームから落としたり、車を暴走させたりして他人に危害を及ぼしたら身の破滅につながる。
そんな危険を思いとどまらせたのは厄介な甥の存在を通して見える「自制心」ではないか。
別れた奥さんと乳母車を挟んで、身をよじるような、思いのたけを吐露するかの様なシーンが最高の山場だ。
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2017年アメリカ)
監督:
ケネス・ロナーガン
出演者:
ケイシー・アフレック
ミシェル・ウィリアムズ
カイル・チャンドラー
■アカデミー主演男優賞・ケイシー・アフレック
☆☆☆☆ 80点
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