『野火』

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補給無き戦争。太平洋戦争はもとより中国大陸でも日本軍の作戦は現地調達が原則だったから銃や大砲で殺られるより餓死していく兵が圧倒的に多かった。敗戦濃厚となって敗走する兵士の悲惨は大岡昇平の「野火」よりむしろ古山高麗雄『フーコン戦記』の一場面一場面を目の当たりにする思いだ。

道無き道に転がる日本兵。「いい天気ですね」といって自爆する兵。生きながらウジが湧く兵。口に入る物はなんでも食ったという。この映画のテーマの一つである「人肉捕食」も、極限の飢餓に見舞われた兵士は人肉を食うしかないのか、その狂気の必然を問う。

トピックは、高い崖をよじ登れば、脱出できる集合地に行けるかも知れないと、夜陰に紛れて集まって来た疲労困憊の日本兵を待ち伏せして襲いかかる重火器の地獄絵図だ。一部は崖に達しよじ登るものも居たらしいが、大半は力尽きて落ちて行ったらしい。

この映画を見て、今を生きる自分達は、戦争がいかに愚かで悲惨なものであるかを実感しなければと思う。

近代戦は歩兵なんか居ないなどと言う人もいるが、戦争は漫画のような甘いものではない。殺し殺され、親兄弟恋人が引き離され悲嘆にくれるのだ。憲法を破ってまでする価値のあるものではない。

『野火』(2014 日本)

監督・脚本、製作、主演:塚本晋也

キャスト:塚本晋也 リリー・フランキー 中村達也

☆☆☆☆ 80点

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