健軍小学校への道 2

<のこぎり男・三船敏郎>

こわいガキ大将の出没する所を過ぎると材木屋がある。
当時の道路は舗装がしていないのが普通で、
雨が降れば足首までぬかるんだ。

もっとも、幹線道路のアスファルトだって、
南国熊本独特の脳ばうっだすごたる太陽の熱で
凹凸がひどく満足なものはなかったから、
通学路なんてそんなものだと思っていた。

ただし、この材木屋の一帯だけはおが屑が堆積しているので、
雨の日はぬかるんでもふんわりとして気持がいい。

道の左側では丸のこが唸りを上げて木を裂いていたから、
製材所というのが正しいかもしれない。

道路右側を占領するように積み上げられた巨大な丸太の山があり、
その上に、いつも大きな鋸で丸太を切っている、
無法松の一生の富島松五郎ならぬ三船敏郎がいた。

屈強な筋肉質の大男で、よか男だ。

もっとも、稲垣浩監督の無法松の一生は昭和33年だから、
小学校低学年の彼にとって、はるかに後世の映画なので見たはずもなく、
後に、勝手に三船敏郎をイメージしてしまったようだ。

それほどイメージが重なるごつい男だった。

頭にはねじり鉢巻き、ランニングシャツにふんどし。
厚いゴム板のような前掛けをしめて、地下足袋の足を踏ん張り、
彼らが通学の足を止めて作業を見ていると、
黙って首のタオルを外して汗を拭きながら
ギョロッとした大きな目を細めて煙草に火を付けた。





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