ドラクロワの摸写 『国立国際美術館』 ベルギー王立美術館展
国立国際美術館
入ってすぐの部屋に幅が2メートル50強の
ルーベンスの大作『聖ベネディクトゥスの奇跡』がデンと鎮座しており、
隣りにやや小振りながらドラクロワの摸写が並んでいる。
聖ベネディクトゥスの奇跡
ルーベンスが描いたのは1640年。
ドラクロワが摸写したのは1841年、43歳の怖いものなしの年齢。
この絵に吸い込まれた。
構図・色彩はほぼ同じながら、
筆致と細部はかなり違う。
中央の手すりは『こう描かなくちゃダメだろう』
と原画にない部分を描き加え、
柱に抱き付く人物はかなりおざなり。
天空の雲など新解釈だ。
比べて見るにつれ、
流儀と主張のせめぎ合いが勝手な想像を誘い、面白くてならない。
ドラクロアはこれを描きながら、自分の腕を確信したことだろう。
摸写というのは『新しい絵を創造する事だ』
と言っている様だ。
『ベルギー王立美術館展』

この記事へのコメント