星々の舟

同じ家の中で、同じ空気を吸い、
気配を感じ、触れてみたくなったのは他でもない。

この世に二人といない女性として愛してしまったからだが、
いまさら実の妹だといわれても、どうすりゃいいんだ。

隠された親のどろどろを知った今、やり場のない怒りに、
目の前の物を突き飛ばして出て行った暁の苦悩がこの小説の焦点。

歳月が流れ、母の葬儀で再会した二人に障害はなくとも、
この恋は十五年前の姿のまま、

あの場所でーあの薄暗く埃っぽい社の中に
永遠に閉じこめられ続けるしかないのか。哀しい愛。

「幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない」
といっても。



戦争の傷を引きずる父重之を通じ、
逃れられない軍隊生活の理不尽さや、
連れてこられた慰安婦の問題に、

昨今”南京大虐殺は、そして慰安婦なんて無かった事”
などと言い出す風潮に流される事なく、
真正面から取り組んでいる姿勢に小説家の大きさ感じる。


『星々の舟』 村山由佳 文芸春秋










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  • 星々の舟<村山由佳>-(本:今年60冊目)-

    Excerpt: 文藝春秋 ; ISBN: 4163216502 ; (2003/03) 評価:81点 第129回直木賞受賞作品。 ふうむ、直木賞ってこういう作品も選ぶのだ。 思い切り歪んでいなが.. Weblog: デコ親父はいつも減量中 racked: 2006-06-28 23:47
  • 星々の舟 村山由佳

    Excerpt: 星々の舟 ■やぎっちょ書評 読んだのは文庫本でしたが、画像は単行本です。BOOKOFFで何気に手に取りました。 ひとつの家族、それぞれの視点から各章が構成されています。 恩田陸さんや姫野カオル.. Weblog: "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! racked: 2006-11-02 17:09